これが「脱・水戸岡デザイン」だ! 形式名が謎すぎるJR九州「漆黒の新観光特急」 神髄は車内にあり!
JR九州が久大本線に新たな観光特急「かんぱち・いちろく」を投入します。去就が注目されていた他路線の観光列車を再改造した新顔は、あまりにも存在感が大きすぎる「水戸岡デザイン」をどれほど変えたのでしょうか。
新観光列車は、「あの二人」の生まれ変わり!?
JR九州が特急「ゆふいんの森」「ゆふ」に続き、久大本線へ3本目の特急列車となる「かんぱち・いちろく」を投入。「福岡・大分デスティネーションキャンペーン」開催に合わせて2024年4月26日にデビューします。この新型の観光特急は、従来の列車の“リノベーション”であるとともに、「2R系」という謎めいた形式名が新たに付されるという、異色の存在です。
「かんぱち・いちろく」の前身は、肥薩線で運行されていた観光列車「いさぶろう・しんぺい」です。キハ47形気動車をベースとした元「いさぶろう・しんぺい」編成に、普通列車だったキハ125形を挟む3両編成となっています。「いさぶろう・しんぺい」は2020年の豪雨災害で肥薩線が不通となった影響で活躍の場を失い、その去就が心配されていましたが、新たに久大本線の観光列車として生まれ変わることになりました。
列車名の「かんぱち・いちろく」は、久大本線開通に貢献した麻生観八(あそうかんぱち)と衞藤一六(えとういちろく)の名前に由来。ネーミングセンスも前列車を引き継いでいます。2月下旬の発表からわずか2か月でのお披露目は、異例の早さだといえます。
「脱・水戸岡」という重責を担ったデザイナー
「長年ご一緒してきた水戸岡先生とも、いつかは変わる時が来る。今回はそのタイミングであり、地元の方々とコラボした結果、新しい久大本線の動くスイートルームができました」
JR九州の古宮洋二社長は4月19日に福岡県のJR九州小倉総合車両センターで執り行われた完成披露式典でこう話しました。列車デザインについて、「いさぶろう・しんぺい」を手掛けた工業デザイナーの水戸岡鋭治氏ではなく、霧島神宮駅リニューアルなどを手掛けた鹿児島市のデザイン会社「IFOO」を起用したことを明かしたのです。
1988年に登場した「アクアエクスプレス」以来、JR九州で36年間続いてきた、いわゆる「水戸岡デザイン」以外の車両デザインが起用されたことは、かねて注目を集めていました。「かんぱち・いちろく」を手掛けたIFOOの八幡秀樹社長は、「初の試みで重いプレッシャーと不安があった。デザインにあたっては数十回にわたるJR側とのデザイン検討会を行った」とその苦労を明かしました。
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