「電気を運ぶ船」は、こう使う! 横浜市と連携し“電気不足”防ぐ!? 港の脱炭素化で起こること

「電気運搬船」を開発中のベンチャー企業と東電グループが横浜市と連携。関東沖の洋上風力発電所から横浜港へと電気を“輸送”します。横浜港の脱炭素化に向けた取り組みを通じ、電気運搬船の使い方も見えてきました。

送電線を設置できない海上からも電気を「運べ」

 海上パワーグリッドは現在、20フィートコンテナ型LEP(リン酸鉄リチウムイオン)電池96個を積載する100TEU(1TEU=20フィートコンテナ1個)型の電気運搬船「Power Ark 100」を建造する計画を進めています。同船は横浜港内で陸上のグリッドに接続して充放電を行うことで、系統需給調整の蓄電所として機能することも想定されているとのことです。

 さらに、洋上風発の設置場所が現行の領海内から排他的経済水域(EEZ)まで拡大することが見込まれる中、海底ケーブルの敷設が困難なエリアに建設される洋上風力発電所から陸上への電力輸送にも船を活用する予定。首都圏では電気運搬船6隻を投入して設備容量1ギガットの洋上風力発電所から毎日、横浜へ電気を運ぶ構想を示しています。

「いちばん風が強いのは三浦半島。横浜市から100kmくらい言ったところに風が良いところがある。風車さえ浮かせられれば、最短距離で東京電力管内に電気を持ってくることができる」(伊藤社長)

 こうした点から電気運搬船は、クルーズ船に対して供給する再生可能エネルギー由来の電力を輸送するだけでなく、大量の旅客が乗った大型船の接岸に伴う需給バランスの調整を行う蓄電所という2つの役割をこなすことができます。

 横浜市の山中竹春市長はこの取り組みについて、次のように強調しました。

「風力発電由来の電力を船で輸送することは世界初の取り組み。次にそういった大量の電力を専用の充放電設備で管理をすることも世界初となる。そして前例のない大型クルーズ船への陸上電力供給に向けてもチャレンジを行う。横浜市はこれらの取り組みをカーボンニュートラルポートの形成へとしっかりとつないでいき、横浜から日本の脱炭素を牽引していく」

 なお、電気運搬船「Power Ark 100」は2024年夏までに詳細仕様書を完成させる予定。海上パワーグリッドは九州、北海道、関東のいずれか1つでプロジェクトを作りつつ、建造のスケジュールを確定して、1隻目の建造に入る考えを示しています。順調に進めば2025年に建造が始まり、2026年後半には竣工・商業運航が行われる見込みです。

【了】

【左側にいる!】「電気運搬船」がいる横浜港(イメージ図)

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1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。

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