どうしてこうなった…? 都内「不条理な自転車レーン」 けっきょく路駐パラダイス “人の列に突っ込む構造”も!?
突然終わる歩道の自転車通行帯 そこにあるのは…
歩道側の自転車通行帯にも、ちょっとヘンな箇所があります。
自転車通行帯を走ると、バス停に突入?
都道317号、通称「山手通り」は、地下を走る首都高中央環状線「山手トンネル」の整備にあわせて拡幅工事が行われ、広くなった歩道上に自転車専用通行帯が設置されました。しかしその工事の時期がガイドライン策定以前だったためか、自転車と歩行者の動線とが交錯し、かえって危険を生じると思われるところもいくつかあります。
その代表例が、豊島区の要町バス停付近です。このバス停の前後では、そこそこ広い歩道上の車道側に自転車通行帯が整備されていますが、バス停の停車位置(バスベイ)が歩道に食い込むように設置されているため、歩道がそのぶん狭くなり、自転車通行帯の延長線上がバス停に並ぶ利用客の列になっているのです。
バス停がある部分は、ほぼ2車線ほどの幅がある中央分離帯を削って車道にするなどして歩道幅を確保し、自転車とバス待ちの利用客との交錯を防ぐような手立てはなかったのかと考えてしまいます。
自転車通行帯は「便利な路駐スポット」
自転車専用通行帯があるにもかかわらず、かえって自転車での通行が危険になっている残念な道路もあります。文京区の東京メトロ茗荷谷駅がある国道254号、通称「春日通り」もその一例です。
このエリアは春日通りに沿って商店や飲食店が建ち並ぶ繁華街になっています。道路の路肩側に自転車専用通行帯が整備されていますが、その通行帯部分が荷下ろしするトラックなどにとって「クルマの通行の邪魔にならない便利な“荷下ろし場”」になっているのです。
この区間の歩道には「普通自転車歩道通行可」の標識がなく、「自転車は車道」という原則から、自転車はこれら路上駐車のクルマを右から追い越して走ることになり、クルマの動線と交錯し非常に危険です。もちろん「やむを得ない場合」としての歩道通行は認めらますが、実際には歩行者が多く、安全を考えるなら「押し歩き」が精一杯です。
こうしたエリアは都内にいくつもありますが、車道と自転車通行帯との間をラバーコーンで仕切るなど、物理的な安全対策が必要ではないかと思われます。
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以上、都内の自転車専用通行帯が抱える課題の代表例を4つご案内しました。じつは冒頭に挙げた「ガイドライン」は2025年春の改定に向けて現在見直しが進められており、3月にはその「改定版(案)」へのパブリックコメントも実施されました。
その改訂版(案)では「自動車専用通行帯における路上駐停車対策の強化」など、これら課題への対応も打ち出されていますが、それが机上の話で終わることのないよう、しっかりとした対応をお願いしたいと思います。
【了】
Writer: 植村祐介(ライター&プランナー)
1966年、福岡県生まれ。自動車専門誌編集部勤務を経て独立。クルマ、PC、マリン&ウインタースポーツ、国内外の旅行など多彩な趣味を通し積み重ねた経験と人脈、知的探究心がセールスポイント。カーライフ系、ニュース&エンタメ系、インタビュー記事執筆のほか、主にIT&通信分野でのB2Bウェブサイトの企画立案、制作、原稿執筆なども手がける。
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