路線バスで「現金お断り」にすると何が変わるのか? “完全キャッシュレス化”解禁=路線維持のため?

キャッシュレス化で定時運行が実現しやすくなる

 国交省物流・自動車局旅客課は路線バスの完全キャッシュレス化の効果を次のように話します。

「完全キャッシュレスに対する理解を利用者から得ることで、乗降の時間が短縮され、バスの定時運行がしやすくなる」

 また、バス運転士の現金管理などの負担を軽減し、働き方改革に寄与するほか、運賃箱の維持管理にかかる負担を減らし、バス事業者の経営改善につながることが期待されています。

「キャッシュレスによるコスト軽減を、運転士などの待遇改善に活かし、路線を維持する方向性を考えてほしい」(前同)

 一方、利用者の中には完全キャッシュレス化に戸惑いの声もあります。

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取材に応じる斉藤国交相(中島みなみ撮影)。

「半導体の影響か、今でも交通系ICカードの中には発売が中止されているものもある。キャッシュレス化に対応しろと言われても難しい年齢もあるのではないか」

 国交省は交通系ICカードだけでなく、将来的にはバス事業者がQRコードやクレジットカードなど複数の決済に対応できるキャッシュレス化を期待しています。“現金”な日本の習慣を変えることができれば、地域公共交通の未来も見えてくるのかもしれません。

【了】

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Writer: 中島みなみ(記者)

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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