レーザーガンより「レールガン」? 日本が最先端を行く“SFっぽい兵器”何がいいのか アメリカは足踏みのナゼ
ミサイルを焼き切るのは難しい
陸軍は3月にDE M-SHORADの試作車4両を受領し、中東へ送りました(場所は非公開)。しかし現場は工場や実験場のような「快適な」環境ではなく、扱う部隊も専門技術者ではありません。複雑精緻な電子機器の塊をストライカー装甲車に詰め込み、過酷な環境で走り回らせて正常に作動させるのは困難で、砂塵や気象状況によってレーザーは減衰し効果に大きなブレが生じたようです。現状、実戦兵器として及第点は得られませんでした。
空軍では、自己防衛型高エネルギーレーザー実証装置(SHiELD)プログラムが実施されていました。これは有人戦闘機にレーザー兵器ポッドを装備し、空対空ミサイルや地対空ミサイルから自機を防御することを目的としたもので、将来的には第6世代有人機に搭載することを目標にしていました。
2017(平成29)年時点で、SHiELDシステムポッドを戦闘機に搭載し、2021年に初飛行を行うことを計画していましたが、2020年に初飛行は2025年へ延期され、2024年になってプログラムの終了が宣言されました。終了の理由は明らかにされていませんが、高出力レーザー兵器をポッドに収められるように小型化するという技術的課題がクリアできないといわれています。
アメリカ海軍もレーザー兵器開発に取り組んでおり、攻撃・監視・妨害の3つの用途を統合した、出力150kWのレーザー「HELIOS」の実用化に成功しているものの、ドローンを焼き切るのに5~10秒を要します。低速のドローンなら複数機でも対処可能ですが、高速の巡航ミサイルには十分ではありません。出力300~500kWが理想とされるものの出力を上げるに大きな電力が必要で、ほとんどの船は専用のバッテリーと冷却ユニットを搭載した電力制御コンテナを持ち込まなければなりません。
アメリカでは、限られた国防予算の中でレーザー兵器研究開発に振り向けられる予算が削減され、レーザー兵器が運用上のゲームチェンジャーになるという2010年代の宣言は怪しくなってきています。先の上院軍事委員会での議論はこのような経緯を踏まえています。
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