「狭い道30キロ規制化」それでは困る? 生活道路だけじゃない「実態に即して」と国家公安委員長 改正の背景に“コスト削減”
生活道路を想定した分離帯や中央線のない一般道路の最高速度が、全国一律で最高30km/hに引き下げられます。速度の標識などがなくとも、道路状況に応じて最高速度が60km/hと30km/hの2段階に。これで困る人も出てくるかもしれません。
センターラインがなければ一律で最高30km/hに
2024年5月30日、警察庁は「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」等に対する意見の募集の中で、分離帯や中央線のない一般道路の最高速度を30km/hとする内容を盛り込んだ改正案を明らかにしました。
速度規制は道路の状況によって最高速度が法令で決まっています。一部の高規格道路を除き、個別路線に設置された規制標識は、その最高速度以下の場合に設置されます。警察庁は、この最高速度を定めた政令に、新たに30km/h以下という最高速度を設定します。
《(一般道路を)通行する場合の最高速度は自動車にあっては次の各号に掲げる一般道路区分に応じ当該各号に定める速度(原付規定略)とする》
この一般道路の新たな区分が《柵、駒止め、棒状の工作物、その他の工作物で自動車が当該工作物が設置された道路の部分から右側にはみだして通行することのできないように設置されている》いわゆる中央分離帯や、中央線のない一般道です。ここで定義される一般道は道幅の制限や、対面通行か一方通行かなどの道の使い方は問いません。
政令が改正されると、高速道路などを除く規制標識のない一般道は、
・最高速度60km/h(中央線などがある場合)
・最高速度30km/h(中央線などがない場合)
この2つの最高速度が設定されます。
中央線がない道路で歩行者の安全が脅かされるのは、幅5.5m以下の道幅が狭い生活道路です。警察庁は2009年から、こうした生活道路について「原則30km/h以下」という原則を明確にしていました。
その後、幹線道路で囲まれた住居地域の内側のエリア全体を「ゾーン30」として指定し、エリア内の道路をすべて最高速度30km/hにするなど段階的な最高速度の規制強化を行ってきましたが、そのいずれもが「最高速度は60km/hだが、規制標識により速度を抑制する」という形をとっていました。
今回の改正について松村祥史国家公安委員長は、「本来生活道路において歩行者が被害者となる交通事故を防止するためには、自動車の速度抑制を行うことが重要であるとの認識を踏まえ、交通実態に合わせた、より安全な道路交通環境を確保することが可能となるもの」と説明します。
ただ、一律の規制対象となるのは、必ずしも生活道路に限らなくなります。
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