船の新燃料の“本命”? 国内初の内航「メタノール燃料」タンカーの実力 世界中で供給可能!でも日本では

国内初となる「メタノール」を燃料とするタンカーが進水。環境負荷を低減する次世代燃料の選択肢の一つとして、世界的にも注目されているメタノール、何がメリットなのでしょうか。

世界メジャーが注目するメタノール

 船舶輸送における環境負荷の低減に貢献できるメタノール燃料は、デンマーク海運大手のAPモラー・マースクを中心に導入が進んでおり、世界で主要な約130か所の港で供給が可能です。

 さらに、工場などさまざまな排出源から回収したCO2と、風力や太陽光など再生可能エネルギーを利用して製造された水素を合成し生産されたeメタノールや、バイオガス由来のバイオメタノールなど、非化石原料由来のメタノールを活用すれば、GHG 排出量のさらなる削減につなげて行くこともできるでしょう。

 マースクはメタノール燃料コンテナ船を25隻整備する予定で、今年4月には韓国・現代重工業で建造された1万6000TEU型(20フィートコンテナ1万6000個相当を積める)コンテナ船「アストリッド・マースク」が横浜港に寄港しています。

 日本の造船所でも常石造船がメタノール燃料のコンテナ船とバルカーを相次いで受注。日本シップヤード(NSY)などはNSユナイテッド海運と、20万9000重量トン型という巨大なメタノール燃料バルカーの建造に関する覚書を結びました。

 また、内航船では6月に三菱重工業グループの三菱造船が、トヨタの完成車輸送を担うトヨフジ海運と福寿船舶から、メタノール燃料RORO船2隻を受注しています。

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常石造船が建造する商船三井ドライバルク向けメタノール二元燃料新造ばら積み船のイメージ図(深水千翔撮影)。

 ただ、懸念点となるのはメタノール燃料のバンカリング(船舶への燃料供給)です。商船三井内航の小林社長も「供給地は現時点では限られている」と認めます。

「今回の船はメタノールを運ぶお客さんと一緒に組んでいるため、本船に関して言えば燃料供給の問題はない。また、メタノールタンカーは燃料の供給もできる。余剰となった船があればバンカリング船として活用する余地もある。供給地点を増やしていき、メタノールタンカーも増やしていけば徐々に普及していくのではないか」(小林社長)

 田渕海運の田渕社長も「バンカリングの話はまだこれから。拠点が増えてこないと供給もしにくい。あとは値段の問題で普及率も変わってくる。高いままだとしんどい」を胸の内を明かしました。メタノール燃料を使用した内航船について「期待している。2隻目、3隻目が続けて出てきて欲しい」と語っています。

【了】

【デカすぎる…】横浜に現れた超巨大“メタノール燃料”コンテナ船(写真)

Writer:

1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。

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