だから日本は「ローカル線」になった 急成長する世界の物流に引き離された現実 国の返り咲きプランとは?

日本で建造された「世界最大級のコンテナ船」は、日本に戻らず、立ち寄ることもありません。圧倒的な量の貨物が動く国際基幹航路から外れ、日本が「ローカル線」と化したからです。その物流幹線へ“返り咲く”ことはできるのでしょうか。

華々しく進水した巨大コンテナ船 2万4000TEU船の恐るべき輸送力

 2023年、呉や今治から日系コンテナ船社のONE(Ocean Network Express)が発注した「世界最大級のコンテナ船」が次々と進水し、造船所は興奮に包まれました。全長約400mは渋谷ヒカリエ全高のおよそ2倍、幅約61mはJR在来線3両分。喫水約17mは6階建のビルが水中に沈んでいるような大きさです。20フィートコンテナを約2万4136個積載できる(2.4万TEU)のですが、どれだけの量か想像つきづらいですね。

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JMU呉事業所で竣工した世界最大級2.4万TEUのコンテナ船「ONE INNOVATION」。建造中の様子(乗りものニュース編集部撮影)。

 たとえばJR貨物が所有するコンテナ貨車は7058両=2万1174TEUなので、船1隻でこれを上回ってしまいます。コンテナを縦に並べれば152kmに達し、東京-清水(静岡)間や大阪-城崎温泉間にほぼ相当する途方もない量です。この規模の船が6隻も進水し、毎日運航するほど、世界では貨物が動いているのです。

コンテナが追求する究極の輸送効率

 国際海運は石油、LNG、鉱石などバルク(ばら積み)輸送を除く貨物は、ほぼコンテナ船で運ばれるようになりました。積み荷は食品、家電、雑貨、化成品、農産品など多岐に渡ります。コンテナ船は究極に輸送効率が高く、コストが低いのです。

 かつて貨物船への積み降ろしは、倉庫から艀(はしけ)を経由して迷路の様な船倉に人夫が肩担ぎで運ぶ人海戦術で、時には航海よりも積み降ろしの方が時間とお金がかかり盗難や破損も多かったのですが、コンテナにより画期的に機械化・効率化され、積荷は壊れも盗まれもせず、海上輸送のコストは劇的に下がりました。

 そしてコンテナは置けば倉庫になり、車や鉄道に載せれば陸上移動もするので、倉庫も艀も不要です。コンテナは急速に世界へ拡がり、安い輸入品が出回るようになり、材料や部品を安い国から仕入れ工程ごとにコンテナで輸送するグローバル・サプライチェーンも盛んになりました。

 船を大きくすればコンテナ1個あたりの燃費や船員のコストは低くなるので、2000年ごろよりコンテナ船は巨大化し、1万7000TEU以上の船が2025年には累計53隻になります。一方で巨大船は1隻1時間あたりのコストは高くなるので、経営的には1分でも遊ばせたくありません。

 そのため巨大コンテナ船は貨物が多く、素早く積み卸しができる巨大なハブ港だけに立ち寄る様になりました。その他の港には、ハブ港から各地を結ぶフィーダー船にコンテナを積み替えて運びます。この船から船へと積み替える輸送をトランシップと言います。

 そのハブ港は、日本にはないのです。

【え…】これが日本が「物流のローカル線化」した理由です(画像)

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