海自護衛艦が中国領海“侵入” これって法的にどうなの? ポイントは「無害性」

国際法では軍艦にも他国の領海内における「無害通航権」が認められていますが、今回の事案は一筋縄ではいかないかもしれません。

情報収集活動はアウト…!今回の場合はどうなる?

 というのも、無害通航権における「無害」とは「沿岸国の平和、秩序または安全を害しない」ことを指しますが、これに当たらない行為の1つに「情報収集活動」が挙げられているためです。

 海洋の利用に関するルールなどについて定める「国連海洋法条約(UNCLOS)」の19条2項には、次のように規定されています。

「外国船舶の通航は、当該外国船舶が領海において次の活動のいずれかに従事する場合には、沿岸国の平和、秩序又は安全を害するものとされる……

(c)沿岸国の防衛又は安全を害することとなるような情報の収集を目的とする行為」

 つまり、他国の領海内において情報収集活動を行った場合には「無害」とは認められず、従ってそれは国際法に違反する「無害でない通航」となってしまうのです。今回、「すずつき」は中国軍の演習を監視する、つまり情報取集のために活動していたとされているため、もしその活動中に領海内に入ってしまった場合、条文解釈によっては、それが「無害でない通航」に該当する恐れもないとは言えません。

 現時点(2024年7月11日)で、日本政府はこの件に関する正式なコメントを出してはいませんが、この点に関する政府見解の内容が注目されます。

【了】

【“和製イージス”とも呼ばれる高性能艦!】あきづき型護衛艦はこんなフネ(写真)

Writer:

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

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