え…プロペラそこ!? まるで「サソリ」のような奇怪設計のプロペラ機 なぜ形そうなった? 思わず二度見の全貌
プロペラ民間機なのに、垂直尾翼の上部がまるで「サソリ」のような、ユニークな形状になったモデルが存在します。なぜこのようなデザインとなったのでしょうか。
実はヒット機の派生型?
多くのプロペラ民間機は主翼、もしくは機体前方にエンジンが設置されていることが一般的です。しかし、そうしたなかで主翼に2基、垂直尾翼に1基エンジンを備え、尾部がまるで「サソリ」のような形状となったプロペラ機が存在します。なぜ、このようなスタイルになったのでしょうか。
このユニークなデザインの機体は、イギリスのブリテン・ノーマン社のプロペラ機、BN-2 Mk3「トライ・ランダー(正式なモデル名はトリスランダー)」というモデルです。この機は、1300機近くが製造された同社の双発機「アイランダー」の発展版にあたります。「トライ・ランダー」は、全長が約15m、翼幅が約16mあり、操縦士2名のほかに最大16名の乗客を収容できます。
ベースとなった「アイランダー」は、約250mの滑走路でも発着できる短距離離着陸性能(STOL性能)が特長の小型旅客機で、砂浜など滑走路を設置できない不整地でも発着可能であることがアピールされました。しかし「アイランダー」は、順調な受注を獲得したものの、最大9人までしか乗客を乗せることができないため、同社は大型タイプの派生型を設計することになります。
ブリテン・ノーマン社では、2発にエンジンを強力なものに変更する案も検討されましたが、最終的に、エンジンをひとつ増やす方法で大型化を図ることにします。
3発目のエンジンは「アイランダー」の機首部分の設計を可能な限り活かすべく、一般的なプロペラ機のように機首にではなく、尾部へ装着することに。これは「トライ・ランダー」が開発されていた1960年代末、ボーイング727やホーカー・シドレー「トライデント」といった3発ジェット旅客機がすでに登場しており、そのインスピレーションを受けたものとされています。
しかしジェット旅客機と違って、プロペラの面積があるぶん、727などのように垂直尾翼の下にエンジンを設置することはできないため、「トライ・ランダー」は、尾翼の上部に設置することに。こうして同型機は、「サソリ」のようなデザインとなったのです。
【了】
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