【10式戦車ができるまで】既存の戦車砲より高威力で軽量なもの作れ!「ムチャ振り」に応えた秘策とは 試し撃ちは驚異の2000発
10式戦車の主砲は独自開発の純国産砲です。ただ、90式戦車と一部弾薬の共用化を図るために実は外国の技術を使った部分もあるとか。さらに相反する強靭化と軽量化を両立させるための苦労もありました。
基本スペック一緒でも別モノ
陸上自衛隊を代表する存在でもある10式戦車において、メインの武装といえるのが独自開発した国産の「10式戦車砲」です。
基本スペックは44口径120mm滑腔砲で、この数値だけ見ると90式戦車が搭載する44口径120mm戦車砲Rh120とほぼ変わっていません。では何が違うかというと、こちらはドイツのラインメタル社が開発したもので、日本製鋼所でライセンス生産をして90式戦車に搭載していました。
そもそも、90式戦車の120mm戦車砲は、当初国内生産を予定していましたが、最終的には費用対効果の面から、ラインメタル社製の砲身と砲尾装置を国内でライセンス生産することにしたのです。
この流れを受けて、10式戦車は90式戦車と弾薬の一部共用化を図っていることから、その影響で10式戦車砲も、実は砲尾の形状は90式戦車と同じにしています。そのため、純国産とは言われるものの、砲尾の薬室部分だけはラインメタル社にライセンス料を支払っています。
残り1513文字
この続きは有料会員登録をすると読むことができます。
Writer: 武若雅哉(軍事フォトライター)
2003年陸上自衛隊入隊。約10年間勤務した後にフリーフォトライターとなる。現場取材に力を入れており、自衛官たちの様々な表情を記録し続けている。「SATマガジン」(SATマガジン編集部)や「JWings」(イカロス出版)、「パンツァー」(アルゴノート)などに寄稿。