【10式戦車ができるまで】「こんなのゲームだ!」苦心のシステムに現場が猛反発 “五感で戦う”を覆した新戦車

「見えない敵を把握」「敵よりも早く先制攻撃を加える」「万一見つかったら1秒でも早く離脱する」これら能力は戦いを有利に進めるうえで必須の能力です。そこを補完できるネットワークシステムの開発が10式戦車では課題となりました。

新戦車の通信装置は乗員用「お知らせ機能」付き

 戦場で行動する戦車部隊にとって、最も困るのは「隣の戦車が見えない」ということです。

 無線による音声通信はできますが、細かい位置まで伝えるのは困難で、場合によっては無線が使えない場合もあります。

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演習中の10式戦車。後方に僚車が見える。お互いが見えている状態であれば視覚通信も可能だが、そういった場所だけで戦うワケではない(武若雅哉撮影)。

 旗や懐中電灯、ハンドサインなどによる手信号での通信もありますが、地面の凹凸などによる地形の影響や、草木などといった視界を遮る地物などが邪魔すれば見えなくなります。そうなると、近くにいるハズの味方車両と意思の疎通を図ることはできません。

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演習中の10式戦車2両。小隊内でも分派する可能性があるため、無線通信や10NWを使った連携は必須となる(武若雅哉撮影)。

 こうした、横の繋がりを保てない状況は、敵の動きに合わせた攻撃の連携をより難しくさせます。結果、訓練中などで、実際に味方戦車との間を敵の戦車に抜かれたこともあったそうです。

 こうした状況を打開するために登場したのが「10式戦車ネットワーク」です。通称「10NW(ヒトマル・ネットワーク)」と呼ばれるシステムです。

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10式戦車(左下)と74式戦車(右上)。 地面の凹凸は、部隊の連携を阻害する可能性を持っている(武若雅哉撮影)。

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Writer: 武若雅哉(軍事フォトライター)

2003年陸上自衛隊入隊。約10年間勤務した後にフリーフォトライターとなる。現場取材に力を入れており、自衛官たちの様々な表情を記録し続けている。「SATマガジン」(SATマガジン編集部)や「JWings」(イカロス出版)、「パンツァー」(アルゴノート)などに寄稿。

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