【10式戦車ができるまで】“10発に1発貫通”じゃダメ!「23発連続貫通」要求に担当者が絶句 なぜ“武装は純国産”だったのか

国産戦車としては最も高性能な10式戦車ですが、その開発は主砲と砲弾から始まっています。一見すると前型の90式戦車が搭載するものとほとんど変わっていないようですが、性能だけでなく発展性も考慮された国産砲に仕上がっています。

90式戦車の配備直後から始まった新砲身&砲弾の開発

 10式戦車の主武装は「10式戦車砲」です。これは砲身長が5.28m(44口径)、砲口直径は120mmの滑腔砲で、これら数値的には前型の90式戦車が搭載する「44口径120mm滑腔砲」とほぼ一緒です。

 しかし、90式戦車のものがドイツのラインメタル社製Rh120をライセンス生産したのに対し、10式戦車砲は純国産。しかも装甲貫徹力などは格段に向上しています。

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10式戦車の射撃の瞬間。左隅に飛翔する砲弾が捉えられているほか、その周囲には砲口から飛び出した直後に外れた弾頭の被帽も写っている(武若雅哉撮影)。

 10式戦車砲の検討が始まったのは、90式戦車の調達開始直後、1990年代前半でした。「将来火砲・弾薬」というタイトルで始まった新戦車向けの次世代火砲に関する研究開発は、1996(平成8)年に「将来火砲・弾薬(その1)」として研究試作が始まっています。

 翌1997(平成9)年からは「将来火砲・弾薬(その2)」の研究試作が始まりました。なお、車体や砲塔に係る「将来車両装置」の研究試作は1998(平成10)年からなので、車体よりも砲身や弾薬の研究の方が早く動き出していたといえるでしょう。

 では、なぜ砲身と砲弾は早々に着手されたのでしょうか。

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究極の滑腔砲ともなった10式戦車砲。技術進化に終わりはないが、現時点ではこれ以上の滑腔砲はないだろう(武若雅哉撮影)。

 大きな理由は、「新戦車」事業が「将来車体」と「将来火砲」に予算が分断された(【10式戦車ができるまで】連載第1回を参照)というのもありますが、もうひとつ、戦後初の国産戦車である61式戦車から90式戦車までの開発において、常にギリギリの設計が行われていた過去があったからです。

 当時の戦車開発は、対ソ連(現ロシア)戦車というのを常に考慮して進められたため、いつも「ロシアの機甲戦力に勝つ」ということが至上命題になっていました。

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ソ連戦車との機甲戦を念頭に設計された90式戦車。防御力では10式戦車を上回っているが、攻撃力では逆に10式戦車に軍配が上がる(武若雅哉撮影)。

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Writer:

2003年陸上自衛隊入隊。約10年間勤務した後にフリーフォトライターとなる。現場取材に力を入れており、自衛官たちの様々な表情を記録し続けている。「SATマガジン」(SATマガジン編集部)や「JWings」(イカロス出版)、「パンツァー」(アルゴノート)などに寄稿。

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