【10式戦車ができるまで】「戦車」と呼べば叩かれる… 予算を勝ち取りマスコミも煙に巻いた“秘策”とは? バレたけど!!

日本を代表する高性能戦車の10式戦車。プロジェクトは1993年頃にスタートしていますが、30年前は冷戦が終わったばかりで、開発予算を獲得するのもひと苦労だったとか。そこで担当者は一計を案じました。

どうすれば開発予算が認められるのか?

「世界最高の戦車を作る!」

 これが10式戦車の開発に携わった人たちの標語でした。しかし、1990年代前半のスタート開始直後は、多くの「無関心派」や「時期尚早派」などといった人たちの声が大きく、その開発環境は決して前途が明るいものではありませんでした。

Large 20240203 01

拡大画像

量産化するまで途方もない時間と労力を費やした10式戦車(武若雅哉撮影)。

 なおかつ、当時は90式戦車が誕生したばかり。しかも社会党(現・社会民主党)を中心とした村山政権下で「新戦車」という言葉を使ってしまっては、マスコミから叩かれる可能性がありました。つまり、新戦車事業を推し進めるには事業の名称を変更する必要があったのです。

 そこで、担当者が悩みに悩んだ末に考え出したのが、事業を「将来火砲・弾薬」と「将来車両」の二本立てにするというものでした。

Large 20240203 02

拡大画像

10式戦車の1つ前の国産戦車である90式戦車。10式戦車の開発が始まった1990年代初頭は、この90式戦車こそ「日本が誇る最新鋭戦車」だった(武若雅哉撮影)。

 これは、あくまでも「このプロジェクトは新戦車開発ではない」ということを前面に押し出し、何とかして「新戦車」事業を推し進めるための予算を獲得しようと知恵を絞った末の案だったといえるでしょう。

 こうした背景には、戦車開発に20年の年月が必要だという担当者たちの思いがありました。仮に、1990年代半ばから新戦車の開発を開始できなければ、90式戦車を越える性能を持った新戦車が他国で発表された場合、しばらくその新戦車に対抗できる日本戦車が存在しない状況が続くことになってしまうからです。

Large 20240203 03

拡大画像

2024年時点も陸上自衛隊の数的主力である90式戦車(武若雅哉撮影)。

残り1413文字

この続きは有料会員登録をすると読むことができます。

2週間無料で登録する

Writer:

2003年陸上自衛隊入隊。約10年間勤務した後にフリーフォトライターとなる。現場取材に力を入れており、自衛官たちの様々な表情を記録し続けている。「SATマガジン」(SATマガジン編集部)や「JWings」(イカロス出版)、「パンツァー」(アルゴノート)などに寄稿。

最新記事

記事ランキング

  1. 「USB挿しっぱ」でクルマが“故障”する? 三菱公式の投稿にSNS騒然 「一体ナゼ?」「これマジで起きるよ」
  2. 都市に迫るロシア軍の「弾道ミサイル」が“空中で木っ端みじん”になる瞬間をウクライナ軍が公開 追尾から撃墜まで詳細に
  3. 海自艦がロシア海軍の「超静かな潜水艦」を確認!浮上航行する姿を捉えた画像を防衛省が公開
  4. 海自潜水艦 アメリカ海軍の“歴戦の揚陸艦”を標的に魚雷発射! 実弾演習で巨大な水柱があがる瞬間を公開
  5. 「海自最大の護衛艦」と「世界最大級の軍艦」が洋上で並んだ! 圧巻の編隊航行を上空から捉えたショットが公開
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  3. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開