【10式戦車ができるまで】求められたのは「IT戦車」 キモは “拡張性” もう無線の時代じゃないと心底思っていた現場

日本を代表する高性能戦車の10式戦車は、それまでの国産戦車と異なり、導入後のアップデートも考慮して開発が進められたそうです。その骨子はシステムのアップデート化。ゆえにIT戦車とも呼ばれているそうです。

既存のデータリンク使えないなら新型作っちゃえ

「将来戦闘車両の研究」から「新戦車の研究要求」、そして「新戦車の開発要求」、さらには「新戦車の装備化」と幾つもの段階を経てきた10式戦車の開発事業。

 その都度、様々なことが順を追って決められていきますが、将来の新戦車を作るうえで、最も重要なことを挙げるとするなら、それは「コンセプト」でしょう。

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「IT戦車」と呼ばれるほどコンピューター機能を強化した10式戦車。リアルタイムで情報共有が可能になった(武若雅哉撮影)。

 コンセプト(Concept)とは、「考え方の方向性」「企画の骨子」という意味の英単語です。新戦車開発の場合は、将来どのような戦場を想定し、どのような能力を持ち、どのように運用されるのかを決める要点といえるものであり、ゆえに必須なものです。

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陸上自衛隊の74式戦車。昔ながらの音声通話のみの無線機しか搭載していない(武若雅哉撮影)。

 そのため、このコンセプトが決まらない限り、新戦車の事業は動き出しません。それぞれの担当者が自由に「理想の戦車」をイメージする段階に留まっていては、いつまでも話がまとまらないからです。

 後に10式戦車となるTK-X(新戦車)において、考えだされた共通コンセプトは「拡張性」でした。

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Writer: 武若雅哉(軍事フォトライター)

2003年陸上自衛隊入隊。約10年間勤務した後にフリーフォトライターとなる。現場取材に力を入れており、自衛官たちの様々な表情を記録し続けている。「SATマガジン」(SATマガジン編集部)や「JWings」(イカロス出版)、「パンツァー」(アルゴノート)などに寄稿。

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