全国唯一の珍風景「特急の寸止め縦列駐車」まもなく見納め! 乗務員も「緊張する」一体なぜこんな方法を?

愛媛県都の玄関口、JR松山駅がまもなく高架化されます。これにより、日本唯一の“珍景”も見納めに。豪快な「特急の縦列駐車」は、そもそもなぜ行われるようになったのでしょうか。

高架駅の開業目前「松山駅」の珍風景見納めへ

 JR四国の四大主要駅の一つ、松山駅が2024年9月29日に高架化され、地上ホームが廃止されます。松山駅といえば1953年築の国鉄建築駅舎もさることながら、四国で一番長いホームを有し、行先の違う2本の特急列車が同一ホームに停車する“松山の縦列停車”が鉄道ファンの間で名物ですが、あと2か月足らずで、この風景も見納めになります。

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操者の誘導に従い入線する特急「宇和海」。一方の列車に数メートルまで近づく(坪内政美撮影)。

 松山駅は2つのホームに3つの番線がある2面3線という形態で、1日約200本の列車がひっきりなしに出入りしています。うち改札口に面した1番ホームは全長270mで四国一の長さともいわれますが、列車本数に対して3つの番線では不足感が否めません。また、岡山・高松方面と伊予大洲・宇和島方面からやってくる別々の特急列車同士の乗り継ぎも行う必要があり、時間短縮が課題となっていました。

 そこで生み出されたのが、同一ホームによる特急同士の縦列停車という独自の操車方法でした。なんと、客扱いをしている営業列車に向けて別の列車を引き込み、操者の誘導のみで“寸止め”にして、同一ホーム内で相互の乗り換えを促すというものです。

 しかも、岡山行き「しおかぜ」と高松行き「いしづち」が併結した8000及び8600系電車特急と、宇和島方面を結ぶ2000系・N2000系気動車特急「宇和海」という、3本の列車が並び、最大11両(「しおかぜ」「いしづち」8両、「宇和海」3両)が1番ホームを埋め尽くします。ブレーキ性能も異なる電車・気動車という異形式の車種が同一ホーム上に並ぶのは、ここ以外には聞きません。

 この縦列停車の作業が、松山駅ではほぼ1時間おきに行われるほか、特急「宇和海」の車両差し替え時には2番ホームも使い、2本の「宇和海」が並ぶこともあります。

「運転士も当然ですが、車掌もとくに緊張する場面です」

 車掌経験のある社員は、縦列停車についてこう話します。停車している先着の列車に、後着の列車はぐいぐいと迫っていくので、車掌は少しでも停止目標を過ぎると感じたら、すぐ非常ブレーキを引けるようにしているとか。特に雨などの悪天候時は緊張する場面だそうです。

【こ、これが松山…】珍景「特急縦列駐車」と新しい高架駅!(写真で見る)

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