「韓国イージス艦」なぜ武装テンコ盛り!? 海自「あたご」「まや」とは似て非なるワケ 実は「ならでは」の事情も

2024年末に4隻目のイージス駆逐艦が就役予定の韓国海軍。同国のイージス艦は一見すると日米の同種の艦とよく似ているものの、極めて重武装なのが特徴です。ただ、そうなったのには「大人の事情」があったようです。

重武装の理由は「全方位対応」

 それでは、なぜ世宗大王級はここまで重武装の船として誕生したのか、その理由はひとえに韓国海軍が置かれた状況に「全方位対応」しようとしたからだといえるでしょう。

 韓国は、いまだ北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)と戦争状態にあります。朝鮮戦争はあくまでも「休戦」であり、北緯38度線を挟んで対峙した形です。朝鮮戦争は地上戦がメインであることから、韓国軍それに対応すべく陸軍に比重を置いた予算・編成を採っており、万一再び戦火が交わされるようになったら、北朝鮮の地上部隊を撃滅するために、海からも対地支援を行うことになるでしょう。

 一方、北朝鮮の海軍力は、陸軍戦力と比較して圧倒的に小さく、かつその主体は潜水艦です。ということは海戦については対潜戦が中心になるでしょう。なお、北朝鮮については、核兵器や弾道ミサイルにも警戒する必要があります。

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船体前部のVLS(垂直発射装置)から「スタンダード」対空ミサイルを撃った世宗大王級イージス駆逐艦(画像:韓国海軍)。

 また、韓国は竹島(韓国名ドクト)で日本と領有権を争っており、日本と対峙することも想定しているほか、最近では海上戦力の強化が著しい中国にも警戒する必要が出ています。

 こうした状況から、世宗大王級は日米のイージス艦のように、その能力を対空メインに振ることができず、結果として重武装になったとも言えるでしょう。

 ただ、やはりアメリカ製と国産、両方のVLSをこれだけの数搭載するのは非効率だと判明したのか、改良型の「正祖大王」では、その数は88セルにまで減る模様です。

 ある意味で、初めてのイージス艦だからと武装をテンコ盛りにしてみたと形容できる世宗大王級駆逐艦。それは、韓国海軍が置かれている状況を映した「鏡」だったといえるのかもしれません。

【了】

【そっくり?】よく見ると違う 日米韓3か国のイージス艦が並走 比べてみる(写真)

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1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。

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