驚異の外形「世界一長~い飛行機」実現? 「でもあんまりモノ積めません」…なのになぜそんなにデカいのか
なぜ「デカいのに積めない」仕様なのか?
これは、「ウィンドランナー」が風力発電用の風車の羽根を運ぶ役目に特化してつくられようとしているためです。
ラディアの公式サイトを見ると、効率のよい風力発電用の風車は、羽根の長さが100mにもなるとのこと。羽根は軽く強くなければならず、工場で1枚に仕立て上げられて出荷されます。
しかし目的地まで、羽根をトレーラーに載せて道路を用いて運ぶのは、交差点を曲がったり、跨道橋があったりして容易ではありません。空輸の方がむしろ効率は良く、運搬費も抑制できるために「ウィンドランナー」が活躍するというのです。
つまり、風力発電用の羽根の運搬に特化したため、貨物室の長さ確保を最優先にした結果、世界最長の機体が構想されたというわけです。
加えて、風力発電用の風車は広く風通しの良い土地が必要ですが、そのような場所は近くに舗装が完備された長い滑走路があるとは限りません。そのため「ウィンドランナー」は、長さ約1800mと短いうえに未舗装の滑走路でも発着できる、ほかの巨大輸送機にない特徴もあります。
「ウィンドランナー」が運ぶことができる羽根の長さは最大105m。ほぼ機体の全長に匹敵し、運搬する際は機首からほぼおしりまでを使います。長さ105mの羽根の場合は1枚ですが、80mの羽根なら3枚を収めることができます。
ただ、2024年7月に英国ファンボロー航空ショーで筆者が構想の進展を尋ねた際は、4発あるエンジンの選定もまだ完了していないということでした。あるいは、たとえば大型の機体を短い滑走路で発着させるため主翼になにか“仕掛け”をするのでしょうか。イメージ画像やショーで同社が展示していた模型からは判断することはできませんでした。
とはいえ、自然エネルギーは欠かせず、風力発電はこれからも重視されるでしょう。実際に「ウィンドランナー」が飛ぶ日が来るのか、注視していきたいと考えています。
【了】
Writer: 加賀幸雄(旅行ライター)
日本各地の名産や景勝に興味があり、気ままに目的地を決めて2泊3日程度の 小旅行を楽しんでいる。
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