2度あることは… 3度の大破を生き抜いた旧海軍の幸運艦 ミュージカル上演は所縁の地で

『この世界の片隅に』のミュージカルが上演された広島県呉市。作中には重巡洋艦「青葉」が登場しますが、「青葉」はまさに呉に縁がある軍艦です。外洋で損傷するたび呉に帰り着き、最期もここで迎えました。

古鷹型との違いは?

 広島県呉市で2024年7月末、『この世界の片隅に』のミュージカルが上演されました。『この世界の片隅に』は、太平洋戦争前後の呉の街を舞台にしており、漫画原作からアニメーション映画、そしてTVドラマ化もされました。
 
 79年前の7月末といえば、ちょうど呉軍港空襲があったころです。作中では、主人公・すずの幼なじみが水兵となって乗り込んだ軍艦として、重巡洋艦「青葉」が登場します。映画のポスターにも用いられるなど、観る人に大きな印象を与えたことでしょう。「青葉」はこの空襲で被弾し、終戦時は呉港内で大破着底した状態でした。

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旧日本海軍の重巡洋艦「青葉」(画像:アメリカ海軍)。

「青葉」はもともと、古鷹型の4番艦として、1923(大正12)年に発効したワシントン海軍軍縮条約の制限内で建造される予定でした。ただ、1年早く就役した「古鷹」の運用実績から各部に改良が加えられ、艦形も異なったため、別タイプ「青葉型」として扱われるようになりました。

 特に主砲は、「古鷹」が20cm単装砲6基だったのに対し、「青葉」は射撃速度を向上させるために20cm連装砲3基へ改めており、そこが古鷹型との一番の識別ポイントです(後に古鷹型2隻も連装砲3基に改装)。

 太平洋戦争が始まると、「青葉」は同型艦「衣笠」、そして準同型艦といえる「古鷹」「加古」などと共に行動。主にニューギニア方面の南太平洋で作戦に当たりました。

 中でも1942(昭和17)年8月上旬、ガダルカナル島に来襲したアメリカ軍反攻部隊に対して夜襲をかけ撃退しようとした第1次ソロモン海戦では、戦力で勝る米豪の連合軍艦隊に対し、砲雷撃で大打撃を与えました。しかし帰路、「加古」が敵潜水艦に撃沈されてしまいます。

【写真】空襲で着底した「青葉」at 呉港

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