被害総額40億円! 驚愕の「クラシックカー投資サギ事件」優秀なレストア職人なぜ悪事に手を染めた?

2024年9月、兵庫県警は詐欺容疑で高級クラシックカーのレストア販売会社オーナーを逮捕しました。余罪を含めると集金総額は56億円にもなるようですが、なぜ彼は悪の道に走ったのでしょうか。そこには業界の特殊な現状がありました。

世界的ブームによるクラシックカー人気の負の側面

 近年は世界的なブームにより、クラシックカーの相場は年々高騰しています。ここ20年ほどの上昇率は、金やプラチナなどの貴金属、ワインや時計、美術品のそれを上回っています。

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整備工場でレストア中のポルシェ。写真はイメージ(画像:PIXTA)。

 その背景には、オルタナティブ投資の過熱による投機マネーの流入があります。クラシックカー市場は株式や債券といった金融資産との相関性が低く、高いリターンが期待できるということで、有望な投資先として投資家から注目を集めています。室崎容疑者が男性に持ちかけた「クラシックカー投資」は、けっして珍しい話ではなく、大手の資産運用会社が高いリターンを謳って投資ファンドを立ち上げているほどです。

 こうした市場の加熱ぶりを見ると、クラシックカーを取り扱う専門業者は、さぞかし儲かっているのだろうと思う人がいるかもしれませんが、現実にはまったく様相が異なります。商売の基本は「安く買って高く売る」ことにあるわけですが、相場の高騰による仕入れコストの上昇で、販売店の経営リスクもまた大きくなっているといえるでしょう。

 海外オークションで、数十億円で取り引きされるフェラーリ250GTOのような希少車はともかく、空冷ポルシェやR34型「スカイラインGT-R」などはブームのあおりで高騰したといっても所詮は量産車です。市場では常に一定の台数が流通しており、ある意味で買い手市場といえます。

 こういったクルマは、すぐに買い手が見つかれば相場が高騰した分だけ得られる利益も大きくなるのですが、現実には数千万円もの高額商品が次から次へと飛ぶように売れるはずもなく、在庫の長期化傾向により保守管理コストの上昇が販売店の経営を圧迫しているのが現状です。

 これはレストア業者や専門の整備工場についても同じことが言え、中古車相場の高騰にあわせて部品価格も高騰していることから、修理中に立て替える部品代の上昇が整備工場の経営に悪影響を与えているのも事実です。

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