被害総額40億円! 驚愕の「クラシックカー投資サギ事件」優秀なレストア職人なぜ悪事に手を染めた?
容疑者は優秀なレストア職人? 有名店が起こした事件
室崎容疑者が自身の会社「STAR CRAFT」を設立したのは2012年です。場所は神戸市東灘区で、クラシックカーの整備や販売が主な事業内容でした。
扱うクラシックカーは、主に1960~1970年代初頭のメルセデス・ベンツやポルシェなどといった、いわゆる往年のスーパーカーで、これら高級クラシックカーを海外から輸入し、レストアしてから販売していました。
意外なようですが、2023年8月の倒産までは同社の評判は悪くなく、作業に必要な設備もしっかりと整えられており、腕の立つメカニックを何人も雇用して、1台ずつコンディションに応じたメンテナンスやレストア作業を行っていた模様です。
なかでも欠品による部品在庫のないクラシックカーの場合は、オリジナルのパーツを日本でスキャンし、ベトナムにある関連会社でCAD化して、3Dプリンタを用いて部品を複製していたとか。また、そのようにして製作したものは、部品としても販売していたようで、こうした画期的なサービスにより業界の中でも注目される存在でした。
筆者(山崎 龍:乗り物系ライター)は室崎容疑者の犯罪をかばうつもりは毛頭ありませんし、被害に遭われた方の救済を心から祈っています。ただ、彼が最初から人をだますつもりで会社を起こした詐欺師であるとは、こうした経緯や周囲の評判を鑑みると、どうしても思えません。
事実、室崎容疑者は高校卒業後、大阪のレストア職人に弟子入りし、そこで高級外車のレストア技術を学んでいます。その後、大手販売会社のレストア部門で腕を振るったあと「STAR CRAFT」を設立しました。同社では約10年間で65台をレストアしており、彼が正真正銘のレストアラーであったことは間違いないようです。では、そのような有能な職人であった彼が、どうして犯罪に奔(はし)ってしまったのでしょうか。
コメント