「バス泣かせの難所」なくします 上高地へ続く国道158号の改良が進行中 「トンネル内分岐への接続」は計画見直し
国道158号で「奈川渡改良」事業が進んでいます。
トンネル4本は大型車のすれ違いが困難
国土交通省関東地方整備局が2024年10月、今年度3回目の事業評価監視委員会を開催。国道158号「奈川渡(ながわど)改良」事業について再評価を行いました。
長野県松本市から梓川沿いに西へ延びる国道158号は、首都圏と上高地や乗鞍高原、白骨温泉、岐阜県の飛騨・高山方面などとを結ぶ重要な道路です。観光地が多く、さらに主要道がほかにないことから、マイカーはもちろん観光バスなどの大型車も多く通ります。関東地方整備局によると、観光のピーク時期には一日約120台以上のバスが通るといいます。
しかし松本市の奈川渡ダム付近の現道は、幅5.8mの狭いトンネルが4本連続しており、大型車がトンネルに入るときは、入口で対向車が出て来るのを待つため滞留が発生。さらに、トンネルの合間にある半径15mの急カーブでは、大型車は対向車線にはみ出しながら曲がっている状況といいます。
奈川渡改良はこれらの課題を解消するものです。橋と2本のトンネルで2.2kmの区間を一気に結びます。
2011年度に事業化され、2014年度に工事がスタート。道路を管理する長野県の権限を代行して、国土交通省関東地方整備局が事業を進めています。東側の大白川トンネル(延長1534m)は2019年7月に貫通。現道のヘアピンカーブをまたぐ大白川大橋(延長83m)の架設は2023年5月に完了しています。
西側の新入山トンネルは2024年3月に工事を契約。現在はその掘削の準備が進んでいます。
そして今回、この新入山トンネルの線形の見直しが示されました。
当初の計画では、大白川大橋から既設の入山隧道の分岐部まで新しくトンネルを掘り、そこからダムまで既設の新入山隧道を拡幅するというものでした。
しかしこれだと全線の通行止めが一定期間生じるとともに、工事期間中は現行1車線運用の狭い入山隧道を対面通行にするなど、現道の通行に大きな制約が生まれます。
このため関係機関が協議し、線形を変更。現道の隧道分岐部を避けて、ダム側出口まで新入山トンネルを新しく掘るルートとしました。線形変更により全線通行止めを回避するとともに、観光シーズンは対面通行を極力確保して、クルマの流れを維持します。
計画変更後の新入山トンネルは、入山隧道と山中で交差し、新入山隧道とダム側出口で合流します。また、この計画変更によって新入山トンネルの延長は18m増えて410mに。事業費は約25億円増加します。
奈川渡改良の道路は、幅員10.5m・2車線、設計速度60km/h、交通量9600台/日で計画されています。
関東地方整備局によると、線形見直しと観光シーズンの施工制約に伴う計画見直しによって新入山トンネルの施工に時間を要する見込みとのこと。引き続き新入山トンネルの設計・工事を進め、早期完成を目指すとしています。
【了】
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