「革新的な旅客機のトイレ」なんとJAXAが本気の研究! 「いつもは多目的スペースです」がまさかの変貌
スゴイ設計の旅客機だけじゃないの!?
普段はフリースペース…だけど?
JAXA(宇宙航空研究開発機構)といえば、宇宙開発分野を主要研究としていることに加え、ユニークなコンセプトを持つ旅客機の研究なども手掛ける機関です。しかしその研究範囲は、機体そのものの構造や設計だけではなく、内装の一部、それも「旅客機のトイレ」にまでおよんでいることはあまり知られていません。JAXAが作る旅客機のトイレとは、どのようなものなのでしょうか。
JAXAでは旅客機の内装品などを手掛けるジャムコと協業で、「ユニバーサルデザインを主眼においた革新的」という機内バリアフリートイレのモックアップ(原寸大模型)の展示を、2024年10月に開催の「2024国際航空宇宙展」で行いました。同機関が「革新的」とうたうとおり、これは多くの航空利用者が思い浮かべる「旅客機のトイレ」とは内容が大きく異なるものとなります。
今回展示されたJAXAが提案の化粧室(ラバトリー)は、実際に就航しているワイドボディ機(通路が2つある機材)の左右のドアを繋ぐ機内通路スペースにそのまま埋め込めるものが想定されており、ふたつの化粧室エリアを隣接させ、平常時はユニットの片方をオープンな多目的スペース、もう片方をトイレとして利用するというものです。
しかし、全介助を要する乗客が化粧室を利用する場合は、多目的スペースとトイレを仕切るパーティションを折りたたみ、スペースを完全拡張するモードへと変更できます。そのことで当該乗客は機内用車椅子で便器に近づくことができ、2人の介助者が便器の正面と側面に位置して支援することが可能です。
JAXAによると、旅客機の化粧室は、現在ワイドボディ機に通常1つ設置されているアクセシブルな化粧室でさえ、そのサイズは非常に小さく、そういった乗客を介助者が内部で支援する十分な広さがないといいます。
現行の旅客機の「アクセシブル」な化粧室では、通常の便座がついた化粧室を隣り合わせ、そのあいだにある壁を可動式とすることで対応することが一般的。しかし、便座などがあるぶんスペースが狭くなってしまい、介助者による十分な支援を受けるのが難しいケースも多々あります。
同機関によると、結果的に対象乗客が自力で化粧室に行かざるをえないことが多く、全介助を必要とする乗客は、フライト中に化粧室を使用することが難しいという問題に直面しているといいます。そうした課題を解決すべく2者は、座席数を減らすことなく、化粧室を一時的に拡張して介助者の支援のためのスペースを確保できるコンセプトを開発したとのこと。同機関は「全介助の必要な身体障害者であっても、地上のバリアフリートイレと同じように化粧室を使用することが可能になります」とコメントを発出しています。
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