「世界で最も高価な航空機」米空軍の“記録”を更新! 即応性アップ期待も手放しで喜べない事情が

なぜ、オーバーホール作業が1年以上もかかるの?

 B-2爆撃機はレーダーで捉えにくいステルス機であり、爆撃機サイズで実用化されたのは2024年時点で同機が唯一です。しかし、そのステルス性を維持するのは簡単なことではなく、この膨大なPDM作業の多くはそのステルス性に関連したものだそうです。

 アメリカ空軍によると、B-2のPDMは1機あたり9年に1度の間隔で実施され、作業では機体の徹底的な検査、オーバーホール、修理が行われます。

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B-2のPDM作業が行われるカリフォルニア州パームデールのプラント42上空を飛ぶB-2「スピリット」爆撃機(画像:アメリカ空軍)。

 同作業のプログラムマネージャーであるステイシー・グラヴェット氏によれば「PDMの主目的は、B-2のLO(低観測性:ステルス性を指す軍事用語として使われる)を修復することで、そのために機体は分解され、他のメンテナンス作業も同時に行うことができます」と説明しています。

 アメリカ空軍では現在、次世代ステルス爆撃機としてB-21「レイダー」を開発中で、同機の本格配備が進めばB-2は退役させる予定です。一部では、高性能なB-2を退役させることや、高いコストを掛けてB-21を新たに開発することに対し否定的な意見もありますが、それでもアメリカ空軍が開発と配備を急ぐのは、現用のB-2に膨大なコストと手間があまりにもかかっているからです。

 じつはこのようなオーバーホール作業に1年程度の作業時間が掛かるのは、他の軍用機でもあることで、通常は他の機体とスケジューリングを調整して運用面で支障がないように対応します。しかし、B-2爆撃機は運用されている機体がたった19機と少なく、これが運用コストや任務面でも大きな制約となっています。

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