新幹線「ノロノロ通過駅」ができたワケ 大減速を強いる「徳山カーブ」の事情 むしろお楽しみスポット?
山陽新幹線は、高速運転ができるよう、カーブや勾配が東海道新幹線より抑えられているのが特徴です。しかし、徳山駅は通過する列車も大きく減速します。どのような事情があるのでしょうか。
高速で通過するはずだった徳山
山陽新幹線に乗っていると、通過駅なのに毎回大きく減速する場所があります。山口県の徳山駅です。最高速度300km/hで走行できる山陽新幹線ですが、わざわざ速度を落とすのには理由があります。
山陽新幹線の徳山駅は、1975(昭和50)年3月10日に開業しました。元々、新幹線は徳山駅を経由せず、市街地から離れた場所に設置した新駅を通る計画でした。しかし、これに対して市は大きく反発し、最終的に山陽本線の徳山駅に新幹線の駅も建設することになったのです。
ここでネックとなったのが、線形でした。山陽新幹線は、東海道新幹線よりも高速運転ができるように、曲線半径を東海道新幹線の2500mに対して4000m、勾配も20‰から15‰を基準として「緩いカーブ」「緩い坂」になるよう設計されました。
新幹線の新駅が市街地から離れた場所に計画されていたのも、この曲線半径をクリアするためでした。しかし、実際には山陽本線の徳山駅へ向けてルートを引き直すことになったため、曲線の半径をこの基準にはどうしても収めることができず、半径1600mという急曲線が誕生することになったのです。
地図を見ると、徳山駅の前後では瀬戸内海へ向けて張り出すようにカーブを描いていることが分かります。この結果、通過列車は速度制限を受けることになり、車両や保安装置の性能が向上した現在でも最高通過速度は200km/hに抑えられているのです。
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