新型「クラウンパトカー」発見にSNS騒然!? 発売から2年 そもそもパトカーとして“使える”のか?
ベースは高価なFCEV その使い道は?
加えて、この「クラウン」パトカーは驚くべきことにFCEV(燃料電池自動車)です。FCEVは走行中に二酸化炭素を排出しないため環境負荷が小さく、モーターで走行するため騒音が少ないと言うメリットはある反面、車両価格は高価で、燃料補給のための水素ステーションは全国でおおよそ80か所しかないことがデメリットです。
しかも、ガソリンスタンドと違って24時間営業の水素ステーションはほぼなく、迅速な燃料補給ができなければ警察車両としては運用上、大きな問題となるため、走行距離が長く、必然的に給油の頻度が高い高速道路交通警察隊や交通機動隊への配備の可能性は少ないでしょう。
だとすると、自動車警ら隊への配備となるのでしょうが、その場合、問題になるのが車体サイズです。
現行型クラウンは世界市場への展開も考慮した結果「クロスオーバー」「エステート」「スポーツ」「セダン」の4種類構成となりました。中でもセダンはショーファードリブン(お抱え運転手付きグルマ)という性格が強く、キャビンスペースと後部座席の乗り心地を重視した結果、歴代「クラウン」の中ではじめて全長が5mを超えています。
これほど大きなクルマになると、道幅の狭い住宅街や繁華街の入り組んだ路地裏を走るのに不向きです。これまで歴代シリーズがパトカーになってきた「クラウン」ですが、いまだに現行モデルが警察車両としてデビューしていないのは、そうした背景があるのではないでしょうか。
おそらく、今回撮影された「クラウンセダン」も通常業務での活躍を期待したものではなく、式典やパレードなどの広報活動、要人警備での使用を前提にしての導入と推察されます。たしかにマラソン大会の随伴車両として使用するのなら、排気ガスを排出しないFCEVのパトカーはアスリートへの身体的負担が小さいため、うってつけなのかもしれません。
【了】
Writer: 山崎 龍(乗り物系ライター)
自動車やクルマを中心にした乗り物系ライター。愛車は1967年型アルファロメオ1300GTジュニア、2010年型フィアット500PINK!、カワサキZX-9R、ヤマハ・グランドマジェスティ250、スズキGN125H、ホンダ・スーパーカブ110「天気の子」。著書は「萌えだらけの車選び」「最強! 連合艦隊オールスターズ」「『世界の銃』完全読本」ほか
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