「貧相すぎる…?」ロシアが中国航空ショーに“雑な仕上げ”のステルス戦闘機を出展したワケ
ちゃっかり成果は挙げた!?
中国にSu-57Eが輸出される可能性が皆無に近いにもかかわらず、ロシア航空宇宙軍がSu-57をエアショーチャイナに参加させた最大の理由は、「ロシアは決して孤立していない」というアピールのためだったと筆者(竹内 修;軍事ジャーナリスト)はおもいます。
ロシアはウクライナへの侵攻後、日本やアメリカなどの自由主義陣営諸国との関係が悪化しており、ベトナムやインドのように比較的友好的な国々とも、必ずしも上手くいっているわけではありません。
そうしたなかで中国はロシアと友好的な関係を保ち続けています。Su-57Eの中国への輸出はなく、Su-57の試作機を中国の人々に嘲笑されたとしても、Su-57がロシア以外で開催されたエアショーに初めて参加したという事実は中国人のプライドをくすぐるはずですし、中国との良好な関係をアピールする絶好の機会になるはずです。
また、エアショーチャイナにはアフリカ諸国や中東諸国などから多数の高官が訪れます。そこではアメリカなどの目を気にすることなく、Su-57Eの商談ができるものと思われます。
その甲斐もあってか、ロシアで兵器輸出を担当するロスオボロンエクスポルトは、エアショーチャイナの会場で、Su-57Eの輸出契約を締結したと発表しています。輸出国や納期などは一切明らかにされていませんが、実現すればSu-57の輸出は初となります。
ただ、ロシア航空宇宙軍向けのSu-57も、自由主義陣営諸国の経済制裁で、電子部品などの入手が困難になり、20機から30機程度を量産したところでストップしてしまったとの報道もあります。本当にSu-57Eの輸出が実現するのか、疑問視する声も少なくはありません。
【了】
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
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