中国「飛行機の海外輸出やるぞ!」アメリカは反発?or静観? 実は“運命共同体”かも

2024年、自国の旅客機を海外にセールスする動きを大きく強めた中国。この海外進出の動きは、今後どのようになるのでしょうか。

「トランプ政権」は中国製旅客機のセールスを

 海外進出を意識したとはいえ、現状で中国が積極的に売り込むことができるのはC919のみです。C909は既に旧式化しており、海外の航空会社が関心を示す可能性は非常に低いでしょう。さらに、C929は登場するにしてもまだ先です。

 このため、「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプ次期大統領が中国からの輸入製品に高い関税をかけたとしても、そもそもFAAの型式証明を持っていないC919を米国航空会社が採用することはありません。そのため、中国製旅客機が米中の貿易摩擦の火種になる可能性は非常に低いでしょう。

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「ARJ21」時代のCOMAC「C909」(相良静造撮影)。

 しかし、中国が2025年以降も米国以外の国々へ、Cシリーズのセールスを積極的に続けるとすれば、将来的には米国メーカーを脅かす可能性はあります。米国の旅客機メーカーよりはるかに後発だったものの、いまやボーイングのライバルにまで成長したエアバスのようにです。

 もしトランプ政権が、中国製旅客機が米国の旅客機産業を脅かすと危険視した場合、何がしらの対策を行う可能性は十分にあり得ます。中国にとってこれは厄介なことです。

 反面、C919には米・仏の合弁会社によって製造されたエンジン「LEAP-1C」が搭載されています。つまり、少なくとも現状は、C919が開発されるとアメリカにとって利益となるわけです。そのため、トランプ政権はしばらく、中国の活発な海外セールスを“放置”するとも考えられます。

 もし、中国がそこを狙って「米国の利益になる」とディール(取引)を仕掛けて成功した場合、中国製旅客機の海外セールスを静かに、かつしたたかに進めるうえで、大きな“追い風”となるわけです。

 中国製旅客機は今のところ、米中間の大きな関心事ではないでしょう。アメリカ発でもある心臓部を採用した中国製旅客機は、現状では米国との“協調”関係を保っているようにも映ります。しかし、この旅客機がいずれはセールス面で米国とライバル関係となり、さらに経済戦争の俎上に上がる可能性も秘めているという、複雑な状況でもあります。

【了】

【写真】既視感強い! これが「中国版ボーイング787」全貌です

Writer:

さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。

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