新幹線の建設資金はどこから来るのか? 北陸新幹線「敦賀から先の開業」がだいぶ先になりそうなワケ

整備新幹線の最初の区間である北陸新幹線・高崎~長野間の開通から、もうすぐ30年です。この整備新幹線は今もほかの区間で建設が進みますが、その資金はどこから来るのでしょうか。この資金のやり繰りは、北陸新幹線の新大阪延伸に時間がかかるのにも関係しています。

そもそも「整備新幹線」とは

 1973(昭和48)年に全国新幹線鉄道整備法に基づく整備計画が決定した5路線約1500kmを「整備新幹線」と呼びます。この整備新幹線は、誰が、誰のお金で建設してきたのでしょうか。

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北陸新幹線の高崎~長野間(長野新幹線)は、整備新幹線の最初の区間として開業した(画像:写真AC)。

 整備新幹線の5路線とは、具体的に東北新幹線の盛岡~新青森間、北海道新幹線、北陸新幹線、九州新幹線、西九州新幹線を指します。これらは国鉄末期に一時、計画が凍結されるも、民営化後の1989(平成元)年に高崎~軽井沢間で着工し、整備が再開します。

 直近では、2022年に西九州新幹線武雄温泉~長崎間66km、2024年に北陸新幹線金沢~敦賀間125kmが開業し、35年間で4分の3にあたる1121km、事業中の北海道新幹線新函館北斗~札幌間を含めれば9割近くが形になりました。

 そんな整備新幹線ですが、誰がどのように資金を負担して建設しているかはあまり知られていません。国鉄時代に建設された新幹線4路線のうち、東海道・山陽・東北(盛岡以南)は国鉄が借入金や鉄道債券の発行で資金調達し、自ら建設、運営しました。

 一方、上越は日本鉄道建設公団(鉄道公団)が建設を担当しました。公団はそれまで在来線の新線整備を担当していましたが、新幹線の整備を促進するため業務を広げることになったのです。建設費は公団が政府の出資と財政投融資で調達し、開業後は国鉄が公団に線路使用料を支払って営業しました。

 整備新幹線の建設は上越新幹線の方式に似ていますが、その前に整備新幹線の建設が再開された経緯を確認しておく必要があるでしょう。前述のように整備新幹線は国鉄の経営悪化で計画凍結されましたが、そもそも国鉄を破綻させた要因は過大な設備投資と、競争力を失った非採算路線の赤字でした。

 それは新幹線も例外ではありません。オイルショック後に建設された東北新幹線の建設費は2.8兆円、上越新幹線は1.6兆円に達した一方、輸送量は東海道・山陽新幹線より少ないため大赤字となりました。ましてや、はるかに需要が小さい地域で整備新幹線の建設などできるはずがありません。

【路線図】これが全国で建設が進む整備新幹線です

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