「撮り鉄」の迷惑行為を最新技術が防ぐ!? 鉄道写真にも生成AIの波 相鉄とアドビが体験イベント
参加者が「乗務員の消去」に次々と成功
15時50分から、車両センターの会議室でワークショップがスタート。アドビの岩本崇マーケティングマネージャーを講師に迎え、サンプル画像を使って、「Adobe Express」による画像編集の基本を学びます。横浜駅のホームを歩く乗務員をなぞって「削除」をタップすると、画像から乗務員だけがきれいに消えました。参加者も次々に「乗務員の消去」に成功。先ほど車両センターで撮影した写真を使った編集にもチャレンジします。
ワークショップには、『日本のもじ鉄』の著者でグラフィックデザイナーの石川祐基さんもゲストとして登壇し、「Adobe Express」の編集を実演しました。12000系甲種輸送時の写真では、後部標識と、乗務員室に置かれた相鉄公式キャラクター「そうにゃん」の消去にチャレンジ。後部標識を消すなんてもったいない気もしますが、いずれもきれいに消せました。
実は今回のイベントは、石川さんがアドビに相鉄を紹介する形で実現したそうです。
「相鉄の方はとてもフレンドリーですし、“YOKOHAMA NAVYBLUE”をはじめとするデザインブランドアッププロジェクトに取り組まれていることから、アドビさんとの親和性が高いと考えて提案しました」(石川さん)
参加者による作品の講評に続いて、現役運転士から「電車に向けてフラッシュを使用しない」「私有地に入らない」「ホームから手や身を乗り出さない」「ホームに脚立や三脚を持ち込まない」「車両や機器類に触らない」「大きな声を出さない」といった撮影時の安全啓発のお話があり、17時に終了となりました。
今回のイベントについて、相模鉄道経営統括部で広報を担当する飛川和範さんは「イベントを通じて、鉄道の安全啓発につなげることができました。AIという新たな技術を使って、安全に鉄道と写真を楽しんでいただきたいですね」と総括。
アドビマーケティング本部の吉原淳さんは、「簡単に編集を楽しんでいただけたことはとても大きいです。私たちは“クリエイティブの民主化”を目指していて、多くの方に作品作りを楽しんでいただきたいと考えています。今までなら捨ててしまった写真を、新しい技術で甦らせるお手伝いをできたらと思います」と語りました。
いよいよ、鉄道写真の世界にもやって来た生成AIの技術。うまく活用すれば、シャッターチャンスが今まで以上に増えるかもしれません。
【了】
Writer: 栗原 景(フォトライター)
1971年、東京生まれ。旅と鉄道、韓国を主なテーマとするフォトライター。小学生の頃から各地の鉄道を一人で乗り歩き、国鉄時代を直接知る最後の世代。出版社勤務を経て2001年からフリー。多くの雑誌や書籍、ウェブに記事と写真を寄稿している。主な著書に「アニメと鉄道ビジネス」(交通新聞社)、「国鉄時代の貨物列車を知ろう」(実業之日本社)など。
コメント