「新幹線eチケットがお得」とは限らない!? 結局どれが安いのか比較してみた 自由席は別の手段も要検討
JR東日本のチケットレスサービス「新幹線eチケット」は、どれほど「お得」なのでしょうか。実際に乗った区間で比較すると、確かに指定席だと従来の紙のきっぷよりお得でしたが、自由席は事情が違いました。
自由席だと事情がガラリと変わる
しかし、自由席を利用する場合はまったく違う結果となります。
・券売機で購入する紙のきっぷ:8700円(ポイント付与なし)
・eチケ:8700円+146円-2ポイント=実質8844円
・タッチでGo!新幹線:8700円+146円-174ポイント-2ポイント=実質8670円【安】
自由席はeチケで購入してもポイント付与の対象外となるため、獲得できるのは上野→西日暮里の146円に対する「在来線乗車ポイント」のみです。さらに値段も紙のきっぷと同じなので、トータルでは紙のきっぷより高くつきます。
ここで利用すべきは「タッチでGo!新幹線」です。これは交通系ICカードの残額で新幹線の自由席に乗車できるもので、登録したSuicaで乗ればJREポイントも付与されます。モバイルSuicaで乗車した場合、50円ごとに1ポイント付与なので、8700円では174ポイントが付与されます。還元率は指定席のeチケと同じ2%です。
ただし、指定席のeチケのように、紙のきっぷより200円引きという仕組みはないため、ポイント還元を踏まえた実質の値段でようやく紙のきっぷと同等の額になります。
注意したいのは、「タッチでGo!新幹線」はeチケとは違う商品であることです。例えばeチケで燕三条→上野を検索すると、自由席のeチケも表示されますが、これはあくまで自由席をeチケで購入するだけのため、ポイントの付与はありません。
なんだか紛らわしく感じてしまいますが、この燕三条→上野→西日暮里の場合、指定席は「eチケを購入」、自由席は「タッチでGo!」という棲み分けになります。なお、「タッチでGo!新幹線」の利用には事前に設定が必要です。
今回の経路では
・指定席:新幹線eチケット
・自由席:タッチでGo!新幹線
の利用が安価という結果になりましたが、降車駅によっては紙のきっぷの「東京都区内」を活用した方が安くなるケースもあるため、とにかく安くしたいなら、場面に応じた使い分けをがんばって研究することになります。ちなみに私(和田 稔:鉄道ライター)は、クレジットカードがビューカードではないため、フルの還元率にならず、モバイルSuicaのオートチャージも設定できません……。
【了】
Writer: 和田 稔(鉄道ライター)
幼少期、祖父に連れられJR越後線を眺める日々を過ごし鉄道好きに。会社員を経て、現在はフリーの鉄道ライターとして活動中。 鉄道誌『J train』(イカロス出版)などに寄稿、機関車・貨物列車を主軸としつつ、信号設備や配線、運行形態などの意味合いも探究する。多数の本とNゲージで部屋が埋め尽くされている。
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