最後は“プラチナ・チケット”も「日本唯一、異形のバス」最終日に密着! 100年の歴史ついに終わり
走らせ続けるために現場も四苦八苦
立山黒部アルペンルートでトロリーバスが長く活躍できたのは、走る時に二酸化炭素(CO2)を排出しない環境性能の良さが評価されたためです。このルートはほぼ全区間が中部山岳国立公園内にあり、環境保全が必要とされます。
立山黒部貫光の担当者も「ディーゼルバスの排出ガスによる環境への影響を考慮しました」と述べていました。
しかし、老朽化したバスの修理用の部品調達が難しくなり、置き換えには製造費がかさむなどの課題が浮上。関電トンネルのトロリーバスは先んじて2018年に運行を終えており、同じく走行中にCO2を出さないリチウムイオン電池充電式の電気バスに置き換えました。
これに伴って、2019年以降は立山トンネルトロリーバスが日本唯一のトロリーバスとなり、根強い人気を誇ってきました。8台のバスは車体を大阪車輌工業(大阪市)が製造し、運転席を含めた定員は73人。最高速度40km/hで走り、前出の室堂~大観峰間を10分で結んできました。立山黒部貫光によると、トロリーバスには29年間で累計1992万4000人程度が乗車したそうです。
室堂運輸区の早川 忍技術長は「どれぐらい長くトロリーバスを維持できるかと考えながら(整備を)してきた」ものの、「いろいろな問題が発生し、維持のための部品(確保)の関係もあって会社が限界だと判断しました」と打ち明けました。
こうして迎えた最終日、11月30日には便数を大幅に増やした特別ダイヤで運行し、1便当たり最大4台が隊列を組みました。アルペンルートを通るツアーの企画にも携わった旅行会社社員、金船裕さん(49)=大阪府池田市=は「十数年前から毎年1回は乗りに来ていました。独特のモーター音とインバーター音を立てながらタイヤで走るのはトロリーバスならではで、何としても乗り納めをしたかった」と話しました。
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