鉄道事業者が共同で暴力防止PR 暴力行為が多い状況、年代は?

駅や車内でしばしば発生する暴力行為を減らそうと、鉄道事業者が共同キャンペーンを開始。データからは、暴力行為が発生しやすい状況が浮かび上がっていました。

夏季に多い暴力行為

 2014年7月11日(金)から日本の鉄道事業者79社局が共同で、暴力行為の防止を訴えるキャンペーンを始めます。

 残念ながら乗客同士、また駅員や乗務員などに対する暴力行為がしばしば発生しているそうです。そこで鉄道事業者が連携し、そうした行為が発生しやすい夏季を前に暴力行為の防止をアピール。暴力被害件数の減少と、より安全、安心に鉄道を利用できる環境の構築を図る目的があります。

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車内に掲示されるPRポスター。暴力防止を分かりやすく伝え、その発生を未然に防ぐことを狙ったという。

 これに合わせて、鉄道係員に対する暴力行為の件数などについて、データが公表されました。

 それによると、年度別の発生件数は平成20年度が752件、21年度が869件、22年度が868件、23年度が911件、24年度が828件、25年度が760件と減少傾向にありますが、それでも1日あたり平均2件以上は発生している計算です。

 月別の発生件数で見ると平成25年度の場合、少ない月は11月と5月で、それぞれ52件と56件です。多い月は先述の通りやはり夏季、7月と8月で、それぞれ81件と76件です。

 曜日別の発生件数では平成25年度の場合、土曜日が141件、金曜日が119件と週末が高い傾向があり、最も少ない火曜日は90件です。

 時間帯別では平成25年度の場合、朝(5時~9時)が69件、日中(9時~17時)が185件、夜(17時~22時)が210件、深夜(22時~5時)が296件と、深夜が圧倒的に多くなっています。

加害者に多い年代、状況は?

 鉄道係員に対する暴力行為を分析すると平成25年度の場合、「飲酒あり」のケースが57.1%、「飲酒なし」が32.5%、「不明」が10.4%です。平成23年度以来、「飲酒あり」のケースが毎年57.1~59.8%を占めています。

 加害者の年齢で最も多いのは「60代以上」で23.4%、次いで「50代」が20.0%、「30代」が18.6%、「40代」が18.3%、「20代以下」が13.9%、「不明」が5.8%です(平成25年度)。平成23年度以来、毎年「60代以上」がトップで、「20代以下」が最下位になっています。とはいえ「60代」だけ突出しているわけではなく、他の年代と比較し例年0.7%~3.4%多い程度です。

 発生場所は平成23年度から毎年「改札」が多く、39.7%~45%を占めています。続いて多い順に「ホーム」「車内」「通路」「階段」となっているのも例年共通で、「ホーム」は約30%、「車内」は約15%を占めています。

 以上のデータから、暴力行為は夏季の週末22時以降、飲酒している場合に改札口で発生することが多いのが分かります。

 暴力は犯罪です。日本の鉄道がこれからもずっと、老若男女が安心して乗車できるものであることを、心より願ってやみません。

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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