路面電車で生ビール&ピザ宅配を体験 豊橋

流し台を備える路面電車

「納涼ビール電車」が、折り返しの運動公園前停留所に着きました。ちなみにこの停留所へ着く直前、半径11mという日本の鉄道でもっとも急なカーブがあります。

 運動公園前では少々停車し、トイレ休憩タイム。乗客がゾロゾロと電車から降り開放しに行きますが、タンクにまだ余裕があった私は、空いた車内を探索することにします。すると、妙なものを発見しました。

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「納涼ビール電車」が装備する流し台。折り返し準備中のため、ちょっと雑然としています。

 路面電車のなかに、家庭にあるような流し台です。生ビールを提供する場合、こうした設備を設けて、保健所の営業許可を取る必要があるそうです。この「納涼ビール電車」車内には飲食店でよく見る、保健所が発行した「食品営業許可証」が掲示されていました。

 ちなみに、その許可証にあった「営業所の所在地」という項目、移動している「納涼ビール電車」はどうなるのかと思いきや、路面電車の営業所がある住所が記載されていました。また「営業所の名称、屋号又は商号」という項目については、「市内線営業所納涼ビール電車」となっていました。豊橋鉄道は路面電車のほか一般的な鉄道路線も運行しており、「市内線」はそのうち路面電車を指します。

 スッキリした顔の人たちが戻ってきて、豊橋駅前に戻ります。このあと、気がついたら豊橋駅にいました。

 豊橋鉄道の「納涼ビール電車」、2014年は6月13日(金)から9月23日(火祝)までの運行で、毎日夜に2便、土日祝日は昼にも1便走ります(例外日あり)。昼の便と、火・木・土の夜の1便は個人でも乗車できますが、それ以外の便は団体貸切で申し込む必要があります。私は今回、団体貸切で乗車しました。

 料金は、個人で乗る場合1人3,000円。団体貸切は28名まで80,000円です。生ビール飲み放題で「おつまみ弁当」が付くほか、缶チューハイや緑茶も数量限定で飲むことができます。カラオケも歌い放題。飲み物やおつまみの持ち込みも、食中毒のおそれがある生もの、においの強いもの、火を使うものなどを除きOKです。

 また参加者全員に「ビール電車オリジナル納涼うちわ」と、今年は豊橋鉄道90周年記念なので「ビール電車オリジナルミニボックスティッシュ」がプレゼントされます。また抽選で「キリン・豊鉄オリジナルグッズ」も当たります。

 この「納涼ビール電車」が豊橋で「夏の風物詩」になっている理由、乗ってみてよく分かりました。一般的な居酒屋で宴会をしても「思い出」にはあまりならなそうですが、路面電車で生ビールという状況が「日常」ではない「納涼ビール電車」は、夏の思い出づくりに花火大会へ出かけたりするのと同様の感覚を得られます。

 「夏の風物詩」としての価値を証明するように、2014年8月19日現在、「納涼ビール電車」は9月23日の最終便までほとんど予約でいっぱいです。しかし一部にまだ空きがあるようです。

 例年11月半ばから3月初めにかけて、今度は「おでんしゃ」が走ります。巡っていく季節の思い出に、再び豊橋を訪れたいと思う今日この頃です。

「豊橋鉄道 「納涼ビール電車」2014」
http://www.toyotetsu.com/news/000025.html

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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