変わる鉄道トンネル順位 青函トンネルも「1位」返上か
青函トンネルも「1位」返上か
では逆に「日本一長い鉄道トンネル」はどこでしょうか。これは有名かもしれません。青森県と北海道を津軽海峡の下を通って連絡する青函トンネルで、全長53.85kmです。1988(昭和63)年3月13日に開通した青函トンネルは、「世界一長い鉄道トンネル」でもあります。
しかしもうしばらくすると、青函トンネルは世界で2番目になってしまう見込みです。スイスで全長57.091kmのゴッタルドベーストンネルが建設中で、完成するとこちらが世界一になるのです。その完成は2018年が予定されており、青函トンネルの「世界一」はあと4年程度ということになります。
また海の下をくぐる長大トンネルといえば、ドーバー海峡を抜けイギリスとフランスを結ぶ英仏海峡トンネルも世界的に有名ですが、その長さは50.45kmと青函トンネルより若干短くなっています。
青函トンネルは「海底トンネル」です。そこで「陸上トンネル」に限定すると、東北新幹線の七戸十和田~新青森間にある八甲田トンネルが全長26.455kmで、「日本一長い陸上の鉄道トンネル」になります。
ちなみに、「日本一長い鉄道橋」も東北新幹線にあります。一ノ関駅(岩手県)のすぐ盛岡駅側にある第一北上川橋梁で、全長3868mです。
「瀬戸大橋のほうが長いのでは?」と思うかもしれません。確かに瀬戸大橋は9367mもあります。しかし「瀬戸大橋」は6つの橋を合わせたもので、ひとつひとつの橋の長さでは全長1723mの南備讃瀬戸大橋が最長です。
さて、「日本一長い鉄道橋」である第一北上川橋梁。実は水面を渡る部分は非常に短く、一見では通常の高架橋のようで、あまり「橋」らしくありません。次点の、全長3750mで「在来線で日本一長い橋」、関西国際空港連絡橋のほうが碧い海上を列車が駆け抜けていき、「らしい」雰囲気を持っています。
【了】
Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)
鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。
余談だけど青函トンネルができる直前の世界一は大清水トンネルでした