路線バスの屋根にある「コブ」は地球と人間への優しさ

金属製から樹脂製になり「コブ」化

 「コブ」の中身は2種類が存在します。

 まずひとつは「CNGタンク」の場合です。「CNG(Compressed Natural Gas)」とは圧縮天然ガスのことで、それを燃料とする路線バスの運行が1994年に東京都交通局、横浜市交通局、京都市交通局、大阪市交通局、神戸市交通局をはじめとする公営交通を中心に始められます。

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大きなコブの中にガスタンクを格納している、いすゞ自動車製のCNGバス。

 このCNGを燃料とする「CNGバス」は軽油を燃料とするディーゼルエンジンを搭載した車両よりも黒煙やNOx(窒素酸化物)、SOx(硫黄酸化物)といった有害物質の排出が大幅に少ないという特徴があります。大気汚染に対して頭を悩ませていた都市部から大きな期待を背負っての登場でした。

 このCNGのタンクは当初、安全性を考えて金属製を使用することが法律で定められていました。しかし金属製のタンクは大きく重量があるため、設置できる場所は床下になります。

 ですが時代はバリアフリーの時代。床下にガスタンクを収納するCNGバスは低床化できず、バリアフリーに対応できません。このままでは排出ガスがクリーンな低公害車両であるCNGバスが、時代に乗り遅れてしまいます。

 そこで1998年、車両の保安基準や高圧ガスに関わる規制が緩和され、樹脂を用いて軽量化されたCNGタンクを屋根上に搭載できるようになりました。つまり屋根上に大きな「コブ」ができた理由は、燃料として地球環境に優しいCNGを使うことと、人間に優しいバリアフリーを両立しようとした結果なのです。

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