予定より早く復旧させたJR東海 一方、5年間不通の路線も

1日90人が乗る区間を15億円で復旧させる理由

 名松線の一部を廃止してバス転換するというJR東海の考えに対し、三重県や沿線の津市は鉄道としての復旧、存続を要望。協議の結果、三重県と津市が鉄道の安全運行に必要な治山・治水工事を担い、JR東海が路線を復旧させることで合意されたのです。運転再開は不通から6年後となる2015年度の予定。復旧費用は三重県、津市がそれぞれ5億円、JR東海が約4.6億円で、合計およそ15億円が見込まれています。

 この名松線について、津市は「地域にとって生活に欠かせない交通機関であると同時に、地域の観光資源を有効に活用し、広域における活性化や潤いを創り出す、いわば将来のまちづくりの重要な基盤である」としています。

 早期に復旧した東海道、中央本線と長年に渡って不通が続く名松線。鉄道会社は同じJR東海でも、路線によって対照的です。

 ちなみに名松線の不通区間を走る代行バスに、テレビ東京の人気番組「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」で太川陽介、蛭子能収、いとうまい子の3人が乗車(「高松~伊勢」2012年4月28日放送)。ネットで「こうした鉄道の代行バスはルール的に乗っていい『路線バス』なのか?」と少々話題になったことがあります。

 また1986(昭和61)年、ノーベル物理学賞を受賞したアメリカのリチャード・ファインマンが地図を見て予定を変更。名松線に乗って伊勢奥津へ行き、そこの旅館に夫妻で泊まることを計画し、同地で2泊したという個性あふれる同氏らしいエピソードもあります。

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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