新車登場で乗車方法が変わる大阪環状線 意外と大きいその変化

数年で見られなくなってしまう奇妙な「共演」

 「安全性の向上」も大きなポイントです。鉄道では運転士が気を失うなどした場合、しばらく操作がないことを検知し列車を停止させる「EB装置」などのシステムがありますが、323系ではその機能を強化した「EB-N形装置(運転士異常時列車停止装置)」を導入。万が一に備えています。

 また運転台の計器類や、架線から電気を取り込むパンタグラフが二重系化され、片方が故障しても、もう片方を使えば大丈夫といったように、故障に強くなっていることも注目です。

 外観も安全性を意識していたりします。ドア部分には安全を考えてその動作状況を分かりやすくするため、黄色いラインが目立つように入れられました。

 車体の衝突対策にも力が入れられており、前面が衝撃吸収構造になっているほか、側面・オフセット衝突対策も行われています。「オフセット衝突」とは前面の一部が何かにあたる形の衝突で、車体が変形しやすいのが特徴です。これに対し、車体の前面がすべてあたる形の衝突を「フルラップ衝突」といいます。

 「情報」も進化します。車内のドア上部などに案内ディスプレイが設けられ、日本語と英語、中国語、韓国語の4カ国語で案内が行われるほか、自動放送も日本語と英語の2カ国語です。また訪日外国人向けではありますが、JR西日本で初となる普通列車内での無料公衆無線LANサービスも提供される予定です。

 新型車両の323系は、2016年度から2018年度にかけて大阪環状線とJRゆめ咲線へ投入される計画です。そしてその完了に伴い、ある奇妙な「共演」が終了します。

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103系を模した「ビエラタウン玉造」と、その脇をすぐ通る大阪環状線の103系(2014年3月、恵 知仁撮影)。

 2014年3月18日、大阪環状線の玉造駅近くにオレンジ色をした大阪環状線の103系電車を模した「ビエラタウン玉造」がオープンしました。ですが新型車両の投入で、そのすぐ脇を走る本物の103系との共演が、あと数年で見られなくなるのです。この不思議な風景を楽しむなら今のうちです。

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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コメント

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1件のコメント

  1. 大阪環状線の新車W323系が3ドアなのは、大和路線と阪和線の快速列車のドア数と合わせて、大阪環状線にホームドアを設置するためである。
    京都線・神戸線は、普通が4ドアで、快速列車が3ドアなので、昇降ロープ式ホーム柵が設置されている。なお、大阪駅などの普通専用のホームはホームドアが設置されている。