乗車率100%を越えて走る列車、その安全性は? 「鉄道定員」の謎

鉄道が定員オーバーでも安全な理由

「乗車率100%」の状況が新幹線と通勤・通学列車で違う理由、それは「定員」の定義が異なるためです。新幹線やJR特急など着席乗車を前提にした車両の場合、「その車両の座席数」=「その車両の定員」です。よって乗車率100%は、座席がすべて埋まった状態を意味します。

 これに対し通勤・通学向けの車両は座席数と合わせて、つり革などを使う立ち客の数も定員に含まれているため、乗車率100%では立ち客が存在することになるのです。

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連結面に書かれている鉄道車両の定員。写真はJR東海700系新幹線で、「幹オサ」は大阪交番検査車両所に所属する車両という意味(2008年7月、恵 知仁撮影)。

 さて鉄道は帰省ラッシュ時のみならず、毎日の通勤通学時に、当たり前のように定員オーバーで運行されています。この点について問題はないのか、気になった人がいるかもしれません。船や航空機では定員厳守ですし、自家用車も「定員外乗車違反」は1点減点、6000円の罰金です(普通車の場合)。

 結論から言えば、基本的に問題ありません。日本民営鉄道協会によると、鉄道の定員は通常運行に支障がない定員数を示した「サービス定員」であり、それ以上乗っては危険だという「保安定員」ではないからです。これに対し船や飛行機の「定員」は「保安定員」であるため、厳密に守られていることになります。

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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