急速にその数を減らす「踏切」 契機となったのは手動踏切の事故

急速に進行する立体交差化、契機は悲しい事故

 2005年3月、東武伊勢崎線の竹ノ塚駅(東京都足立区)付近にあった係員が手動で操作する踏切で、その係員のミスにより4名が死傷する事故が起きてしまいます。

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竹ノ塚駅の踏切と同様、係員が操作していた名鉄神宮前駅(名古屋市)の踏切。こちらは2012年に廃止された(2010年2月、恵 知仁撮影)。

「係員のミス」というと単純な話に思えるかもしれませんが、この踏切は「開かずの踏切」で、日常的に通行者から踏切の係員に対し大きなプレッシャーが加えられており、裁判でもその事実が認められました。そしてこの悲しい出来事をきっかけに、「開かずの踏切」はそれまで以上に世間から高い注目を浴びることになります。

 これに対し、国は迅速でした。それまで連続立体交差事業の事業主体は都や県などの自治体でしたが、区の主導で実施できるよう改められます。そして同時に国土交通省の旗ふりのもと、全国の踏切を対象に交通実態総点検を実施。速効対策が必要な約1,100箇所と、抜本的な対策が必要な約1,400箇所を抽出して、それまでの2倍のスピードを目標に改善することを決定したのです。

 2005年に事故が発生した竹ノ塚駅付近の踏切についても立体交差化が決まり、2012年11月に起工されました。足立区によると事故発生から7年7ヶ月での事業着手は異例の早さとのことで、完成は2020年度の予定です。事業費はおよそ544億円が見込まれており、そのうち足立区(国費・都費含む)が約456億円、東武鉄道が約88億円を負担します。

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