消えていくエチケット袋 381系「くろしお」引退

エチケット袋は技術発展の生き証人

 現在、在来線から新幹線まで広く使われている車体傾斜システム。それを1973年に日本で初めて実用化した381系は日本の鉄道史において重要な存在ですが、ある「弱点」も持っていました。

 381系が採用した自然振子式の車体傾斜システムはカーブでの遠心力低減、通過速度向上を実現しましたが、カーブ進入時など不自然な揺れが発生することがあり、それによって気分を悪くする乗客が見られました。そのため381系で運転される特急「くろしお」、特急「やくも」(岡山~出雲市)の洗面所には、エチケット袋が用意されているのです。

 そしてこの問題を解決したのが、先述した「南風」などの2000系(1989年登場)や「ソニック」などの883系(1994年登場)が採用している「制御付き自然振子式」の車体傾斜システムで、これらにエチケット袋は備えられていません。

 車体傾斜システムを日本で初めて実用化しながら、「弱点」もあった381系。現代の車体傾斜システム採用車両では見られなくなった洗面台にあるエチケット袋は、鉄道とその技術の発展を静かに物語る「生き証人」なのです。

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「くろしお」用381系に備えられた名物の「パンダシート」。これも見られなくなりそうだ(2012年1月、恵 知仁撮影)。

 最後にこの381系について、もしかすると「エチケット袋がある電車なんて」と不安を抱くかもしれません。しかし、そう簡単にそのお世話になってしまう車両が登場から40年以上も走り続けるわけがないことは、言うまでもないでしょう。

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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コメント

3件のコメント

  1. 私は大阪生まれの大阪育ちで、南紀白浜や勝浦にこの くろしおに乗車し進行方向右窓側に・・・しかし海南市を過ぎたあたりから、まあ~車体の揺れること!何度も気持ち悪くなったものです。エチケット袋は、知りませんでした。酔い止めを飲んでました。

  2. 懐かしい○ロしおに○くもでしたっけ?

  3. 信州に魅せられてよくこの車両が使われていた「しなの」に乗ってました。
    一度も酔うことがなく、たくさんの思い出がある車両、関西人なので「くろしお」でも乗りましたが、これからは「やくも」のみ。
    最後に乗るチャンスがあるかどうか・・・