災害に備え電気機関車「金太郎」の活用を検討 JR貨物

2014年10月に東海道本線で土砂災害が発生。貨物列車の運行に支障が発生し、日本の物流に大きな影響が出ました。そこでJR貨物は今後同様の事態が発生したときのために、新たな検討を始めると発表。「金太郎」の活用などが検証されます。

通常の20%しか輸送力を確保できなかった昨年の台風災害

 2014年10月6日、台風の影響により東海道本線の由比~興津間(静岡県清水区)で土砂が崩壊。16日まで列車の運行が不可能になりました。

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2014年10月に発生した東海道本線由比~興津間における土砂崩壊。線路上へ重機を入れ復旧作業が続けられた(2014年10月9日、恵 知仁撮影)。

 東海道本線は、旅客輸送こそ新幹線に主役を譲っていますが、物流では現在も日本の東西をつなぐ大動脈です。不通になった際、JR貨物は列車の迂回運転、トラック代行輸送を実施するなどの対応を行いましたが、提供できた輸送力は通常の20%程度に留まり、日本の物流に大きな影響が出ています。

 そこでJR貨物は2015年1月14日、同様の事態が今後再び発生した場合に備え、新たな検討を始めることを発表しました。

汎用性の高い「金太郎」

 その検討内容のひとつにJR貨物は、「輸送機材のリダンダンシー(冗長性)」を挙げています。具体的にはEH500形という汎用性のある電気機関車をあらかじめ主要線区へ入線させ、確認と検証を行うというものです。

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EH500形電気機関車「金太郎」は交流、直流両用で、JR在来線で使用されているすべての電気で走行が可能(2009年12月、恵 知仁撮影)。

 「ECO-POWER 金太郎」という愛称を持つEH500形は、日本の在来線で使用されている3種類すべての電気で走行が可能で、牽引力も高いという特徴がありますが、現在は首都圏~北海道間、北九州地区のみでしか使用されていません。

 またその路線で使用したことのない機関車を、いきなり営業列車として走行させることは困難です。そのため事前に入線させ、いざというときのために確認と検証をしておくというわけです。

 このほかJR貨物は、迂回輸送の体系をあらかじめ想定し危機管理の観点から予備機関車を配置しておくこと、船舶輸送の利用などについても検討を行うとしています。

【了】

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Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道ライター、イラストレーター。「鉄道」や「旅」に関する執筆活動や絵本の制作を行っているほか、鉄道車両のデザインにも携わる。子供の頃からの旅鉄&撮り鉄で、日本国内の鉄道はJR・私鉄の全線に乗車済み。完乗駅はJRが稚内で、私鉄が間藤。メインは「鉄道」だが、基本的に「乗りもの」好き。

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コメント

6件のコメント

  1. 確かに電源では金太郎は何処でも走れるが、「H級」と言う「大型機関車」がどの線路でも走れるわけではありません。
    その重さに耐えられない路線も有るので金太郎がベストとも言えない。

  2. EH型が大きいとは言えED型重連と大差ないので国鉄時代に電気機関車が走っていた路線なら余裕なはず

    入れない路線は大体非電化区間なので問題なし

  3. これだけ、宅配物の大量輸送、即日配達が求められるようになって、JR貨物だけで、対応するのはおかしな話である。代替手段としてのトラック輸送では大量輸送には全く対応できないのが、東海道線の不通でわかったはずである。また、船舶という悠長な手段は途中トラック輸送が伴わないと機能しない。本腰をいれて鉄道物流の冗長化を行わないといけないのは、政府側の人間はわかっているのだろうか?
    まず、中央本線の複線化が絶対必要不可欠と思うのだが、JR貨物の対策だけではなにも進まない。

  4. 船舶が悠長なんて言ってるけど、貨物列車と大して変わらないよ。日本の物流で大量輸送は殆どが船舶だよ。

  5. EF510は使えんのか?

  6. 災害に備えるんなら、DD51やDE10を一定数確保しておく方が現実的でしょう。運転手の確保は大変だが、平素から電気車と並行して教育しておくとかしないと、ダメでしょうな。国から補助金をもらうのがいいと思いますが。