東海道新幹線、車体傾斜区間を拡大 スピードアップへ

東海道新幹線の最高速度が、まもなく23年ぶりに285km/hへアップします。どのようにしてそれを実現したのでしょうか。またなぜスピードアップして285km/hと、ほかの新幹線ほど速くないのでしょうか。

「車体傾斜区間」を拡大

 そうした東海道新幹線の線路状況に対し、2007年にデビューしたN700系は「車体傾斜システム」という、車体を傾けることによって乗り心地への影響を相殺し、カーブを高速で通過できる装置を搭載。255km/hへの減速が必要だった半径2500mのカーブでも、最高速度の270km/hで通過可能になりました。

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JR東海・小牧研究施設(愛知県)での車体傾斜システム開発風景(写真提供:JR東海)。

 そして今回の285km/h運転実現にも、この車体傾斜システムが貢献しています。JR東海の資料によると、従来は半径2500mのカーブだけで使っていたそのシステムを、半径3000mから4500mのカーブでも新たに使用開始。これにより半径2500mのカーブは275km/hへの減速が必要ながらも、半径3000m以上のカーブであれば最高速度である285km/hのまま走ることが可能になっています。

 この車体傾斜システムは空気圧で車体を傾ける仕組みです。285km/h運転に伴い使用区間が増加することから、その速さで走るN700Aと、それと同様に改造されたN700系には空気タンクが増設されています。

 また285km/h運転を行うN700Aと改造されたN700系に装備され、従来のN700系と比較し15%ブレーキ力が向上した「中央締結ブレーキディスク」も注目のポイントです。

 JR東海の新幹線鉄道事業本部車両課長の古屋さんは、「地震発生時は早く停止することが極めて重要」という前提のもとブレーキ力の強化を行っており、その結果として今回、中央締結ブレーキディスクの採用で285km/hにスピードアップしても、270km/h走行時と同程度の距離で停止できるようになったとし、安全運行の基本は「止まる性能」だといいます。

 285km/hへの高速化にあたってはこうした装置の活用、高性能化のほか、車両の屋根部分にあるケーブルの隙間を埋めて騒音の発生を抑えたり、線路設備や架線、信号システムを改良する、といったことが合わせて実施されており、JR東海は「全系統の総合力」で速度向上を達成したとしています。列車が速く、そして何より安全に安定して走るには、ただ「足が速ければ良い」というわけではありません。

【了】

Writer:

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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コメント

1件のコメント

  1. 最高速度は停車性能が決めるというのはよくある話。

    在来線でも最高速度はブレーキをかけて600m以内で止まれる速度とする、いわゆる『600m条項』があった。

    だから走行性能は当時からかなり進化したはずなのに、最高速度は意外と伸びていない。

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