読み物から史料へ 鉄道旅行ブームの土台を作った『気まぐれ列車』

現在は人気の高い「鉄道旅行」。しかし往時は情報が少なく、敷居が高かった時代もありました。そうしたなか「鉄道」と「旅」の情報と魅力を伝え、多くの鉄道ファンに影響を与えた種村直樹という人物がいます。どのような人だったのか、縁の深い栗原景さんにお話を聞きました。

鉄道の情報が得づらかった時代

 蒸気機関車の引退や「ブルートレインブーム」など、「鉄道」へしばしば注目が集まった1970年代頃、国鉄が個人旅行の促進を目的としたキャンペーン「ディスカバー・ジャパン」を行うなど「鉄道旅行」の人気も高まりを見せていました。

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かつて「ブルートレイン」の代名詞的存在だった寝台特急「あさかぜ」(1989年8月、恵 知仁撮影)。

 そうしたなか登場し、鉄道少年たちのバイブルになった本があります。レイルウェイ・ライター、種村直樹さんの『鉄道旅行術』(1977年)や『種村直樹の汽車旅相談室』(1982年)といった書籍です。インターネットがなく、情報を得ることが現在より遥かに難しかった当時、種村氏の鉄道旅行指南書は鉄道少年、そして大人からも重宝されました。

 また種村さんはそうしたハウツー本のみならず、鉄道紀行エッセイ『気まぐれ列車』シリーズ(1980年~)を著すなど、「鉄道」と「旅」の面白さを文章で表現。そうした当時における氏の活動が、現在における鉄道旅行趣味の隆盛に繋がっている部分があるとしても、過言ではないかもしれません。特にいわゆる「団塊ジュニア」など、働き盛りである現在40代前後の鉄道ファンには、子ども時代に種村さんの著作に触れた人が多く存在しています。

 種村さんは2014年11月に鬼籍へ入られましたが、どのような人物であったのか、氏と交流が深かったフォトライターの栗原景さん(43)は次のように話します。

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