自衛隊オスプレイ導入 真に議論すべきだったこと

オスプレイは「銀の弾丸」ではない

「オスプレイ」はわずか17機しか導入しないため、整備に数機、評価用に数機、練習機用に数機が必要であることを考慮すると、実際に作戦投入が可能な機数は半数の8~9機程度となるでしょう。

 そして「オスプレイ」は最大で24名が搭乗可能ですから、一度に投入可能な戦力はせいぜい約200名でしかありません。しかも火力は、小銃など個人が携行可能な極めて小さなものに限られます。したがって、「オスプレイ」を導入することによって可能となる作戦は極めて限定的であり、「オスプレイ」を導入したことによって自衛隊の戦力が大幅に増したり、大きな抑止力を発揮するということは、まず考えられません。

 軽装甲機動車や155mmりゅう弾砲といった重装備は「オスプレイ」では運べないため、輸送艦やヘリ搭載護衛艦を拠点とするCH-47J/JAによる空輸を必要としますし、戦車の輸送にはLCAC(エアクッション型揚陸艇)が必要です。そして、そのように輸送艦やヘリ搭載護衛艦を拠点とできるならば、あえて「オスプレイ」を使う必要もなく、既存のヘリコプターでも十分に隊員の輸送に対応できます。

Large 150530 ospurei 02
機外に吊し155mmりゅう弾砲などの輸送ができるCH-47J/JA(撮影:関 賢太郎)。

 また中央即応集団隷下の「第一空挺団」ならば航空自衛隊のC-1ないしC-130H「ハーキュリーズ」輸送機から空挺降下(パラシュート)で展開することが可能です。C-130Hは「オスプレイ」以上の速度と航続距離を持ち、3倍の人員を輸送できます。

 本格的な侵攻があった場合、「オスプレイ」だけで作戦を行うことはできませんが、「オスプレイ」が無くても作戦を行うことは可能なのです。もちろん、「オスプレイ」があれば便利であることは間違いありませんが、必須ではありません。「オスプレイ」はすべてを解決する「銀の弾丸」ではないのです。

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

3件のコメント

  1. 兵員を展開するのに掛かる時間と人数が重要なのでは?この記事には兵員展開に掛かる時間、つまり島嶼防衛なり離島奪還に要する時系列的思考が欠けているように思うのですが・・・投入できる兵員数と投入に掛かる時間は戦場に於いては尤も重要ですよね。ヘリコプターとオスプレイの違いによる戦場への影響を比較するにはデータが足りないように思います。一度に運べる人数と価格面の比較だけではねぇ・・・

    • 小生難しいことはよく分かりませんが雌プレイなら毎日しております

  2. あと、C-1ないしC-130H「ハーキュリーズ」輸送機から空挺降下(パラシュート)での兵員展開は面での制圧ですが、オスプレイによるピンポイントへの兵員展開とは、そもそも作戦が違うのではないかと・・・?
    それと確かに戦車の輸送にはLCACが必要ですが、戦場が戦車戦を展開できる離島なのかも分かりませんし、仮に尖閣諸島であれば戦車戦はあり得ません。もちろん空挺降下も。尖閣諸島で空挺降下となれば、すでに戦況は日本が制圧していると思うんです。もし敵国が制圧していたのなら死者を増やすだけですし、お隣の大国と違って死者を出す前提で兵員を空挺降下出来るほど日本には人的戦力はありませんから。
    別に記事を否定するつもりではありませんが、比較する内容が限られている内容なので読んでいるとオスプレイ配備を否定したいが為の記事なのではないかと思えてしまいます。
    なので、私のような一般人には『真に議論すべきだったこと』としては判断しずらいかと思います。