ベンツの上にカモメが飛んだ~♪ 世界初「上に開く斬新ドア」誕生のヒミツ 実はデメリットだらけの“苦肉の策”

車体や地面に対して垂直に開く「ガルウィングドア」。今でも斬新な印象を受けるこのドアを最初に採用したのは、1955年に登場したメルセデス・ベンツ300SLでした。実は“苦肉の策”として生まれた構造だったのです。

苦肉の策で誕生したガルウィングドア

車体や地面に対して垂直に開く自動車の「ガルウィングドア」は、世界中のさまざまなモデルに採用されたほか、トラックのウイングボディの着想源にもなったとも言われれる「伝説のドア」です。実は、このガルウィングドアを最初に採用したのは、1955年に登場したメルセデス・ベンツ300SLでした。

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1955年のメルセデス・ベンツ・300SLにラインナップされたガルウィングクーペ(2025年、松田義人撮影)。

ガルウィングは、「翼を広げたカモメ(英語でgull[ガル])」にドアを開いた姿が似ていることから命名されたものです。デザイン的にもカッコよく、「スポーツモデルの象徴的なドア」でもありますが、実はメルセデス・ベンツ300SLの構造上の制約から生まれた、いわば“苦肉の策”として考案されました。

 300SLの開発当初、開発陣は「軽量化」と「高い剛性」という、相反する課題を同時に解決する必要がありました。その解決策として、細い鋼管を格子状に組み合わせたマルチチューブラースペースフレーム構造が採用されました。これにより「軽量化」と「高強度」の車体が実現したのです。

 しかし、この構造では鋼管が座席付近を通るため、通常のサイドドアを設けることができませんでした。仮に一般的なドアを採用すれば、ドライバーも同乗者も、大きくボディをまたがなければ、乗り降りできないという不便な構造になってしまいます。

そこで考案されたのが、シャーシ構造を維持したままでも、多少乗り降りが容易となるガルウィングドアだったというわけです。

【え…!】こうなってたのか「世界初のガルウィングドア」の構造(写真)

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