異常な沿線風景 おみこしトーマス、地方鉄道を救う?

大井川鐵道で、2年目の「きかんしゃトーマス」運行がスタートしました。乗車には抽選が必要なほど人気の「トーマス」。先だって行われた試乗列車に乗車したところ、異常な沿線風景に出会い、ルックスだけではない「トーマス」が秘める“力”、そして地方ローカル鉄道における“可能性”が見えてきました。

ひとつになれる「トーマス」

 線路のすぐ近くにあり、このとき「トーマス」に向かって「ガンバレ!」という手作りの横断幕を掲げていた金谷図書館(静岡県島田市)にお話を伺ったところ、「色々応援したいと考えているなか、来館者にも声をかけ、みんなでお見送りをしました」とのこと。

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「トーマス」を見送る沿線の人々。左上が金谷図書館(2015年6月4日、恵 知仁撮影)。

 人口減少社会、過疎化、モータリゼーションなどの理由から、暗い話題も多い昨今の地方ローカル鉄道。大井川鐵道でも沿線人口やSL列車の利用者減少などによる業績悪化で2014年、運行本数が削減されたほか、今年5月末には筆頭株主の名古屋鉄道が経営から撤退することが明らかになりました。今後、政府系ファンドによる大井川鐵道の再生支援が行われます。

 地方ローカル鉄道が抱える問題は、その沿線地域の協力なしに解決できるものではありません。国土交通省は「地域鉄道対策」として次のように述べています。

「地域の将来にとってどのような交通機関や輸送サービスが必要不可欠なのかについては、まずは沿線地域において議論し、判断すべきであり、その結論に基づいて鉄道の活性化に取り組んでいく場合にあっては、地元自治体をはじめとする地域が中心的な役割を担うことが何より重要です」

 そうしたなか大井川鐵道と沿線を結びつけ、普段は鉄道を使わない人を含めて地域全体が、その将来を一緒になって考えるきっかけとして、また語弊があるかもしれませんが、みんながひとつになれる“おみこし”として、「トーマス」の持つ人気、そしてシンボル性は単純な観光客の集客のみならず、大きな役割を果たすかもしれません。

「沿線で大勢の方たちが列車を見送ってくださって、運転士や車掌はとても喜んでいました」(大井川鐵道広報担当、山本さん)

 ちなみに「トーマス」「ジェームス」への乗車について、申込みが始まっている日の列車については既に満席ですが、キャンセルが発生することも多く、7~8月運行分について今後、2次募集を行う予定とのこと。乗車チャンスはまだあるほか、仮に抽選に外れても、その運行日には千頭駅で「トーマスフェア」を実施。転車台で回転する「トーマス」や、「ヒロ」「パーシー」との並びなどを楽しめるそうです。

【了】

Writer:

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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