路駐車両を利用可能 加速するクルマの公共交通化

「若者の車離れ」は日本だけではありません。いま世界で、クルマを公共交通的に使用する動きが広がっています。将来、クルマは所有せず共有するのが当たり前になるのでしょうか。

路駐しているクルマを借りられるヨーロッパ

 クルマが、電車やバスと同じような乗りものになる日が来るかもしれません。つまり、クルマが公共交通のようになるかもしれません。そうした傾向がいま、世界各地でドンドン高まってきているのです。

 まずはヨーロッパ。高度交通システム(ITS)に関する国際会議の場で、自動車関連調査会社の多くが「ヨーロッパにおける若者のクルマ離れ」を指摘するようになりました。クルマの代わりに、LRT(路面電車などの軽量軌道交通)や自転車の利用が増えているといいます。彼らにとってクルマを所有することは、とても面倒なことなのです。

 もちろん金銭面での負担もありますが、最も大きな問題は駐車スペースです。多くのヨーロッパ都市部では、庶民の住宅に駐車場がありません。そのため法律で“路駐”が許されています。しかし夜は“路駐”するスペースもなくなってしまい、自宅から遠い場所に停めることも。こんな面倒なことに嫌気が指して、クルマを手放す人も増えています。クルマがなくても、発達している公共交通機関を使えば良いのですから。

 荷物が多いときや赤ちゃんが一緒のとき、早朝や深夜で電車やバスが走っていないときなどは、カーシェアの出番です。日本でも最近、パーク24が運営する「タイムズカープラス」などのカーシェアが増えています。

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ヨーロッパで広がっているワンウェイ式カーシェア「CAR2GO」(2014年9月、桃田健史撮影)。

 ただし日本の場合、A地点からB地点までといった出発地に戻らないワンウエイ式カーシェアは、まだほとんどありません。一方、ヨーロッパで最近急速に広がっているメルセデス運営の「CAR2GO」は、路駐しているクルマを借りて、自分の好きな場所に路駐して返すことができます。

 ヨーロッパでは若者のクルマ離れが進むなか、「カーシェアをするために運転免許を取る」という人が増えているそうです。彼らにとってクルマは所有するより、共有するほうが便利なのです。

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