高速の暫定2車線、解消進むか しかし残る問題も

拡幅される路線はどこ?

 NEXCOには、採算の取れない路線を「建設しない」という拒否権は与えられていますが、かつての日本道路公団時代同様、「造らない」という選択肢は思考回路にないようです。むしろ自分のナワバリを増やしたいという役人的な方向性が強く残っており、同時に“高速道路屋”としての誇りや執念もあります。

 たとえばNEXCO西日本は、新名神のなかで唯一の建設凍結区間だった大津~神戸間について、「危機管理の点からも絶対に必要な道路。当然着工しないといけない」と建設を強く望み、2012年に凍結が解除されて事業認可に至りました。建設費は1兆円近くに達し、単独事業としては到底採算は取れませんが、国の危機管理を持ち出して建設を望むのは、まさに役人の発想です。

 会社の事業としてはペイしなくても、国家にとってプラスなら造る。それを“親方日の丸”と呼ぶか“高速道路屋の誇り”と呼ぶかは人それぞれでしょうが、いちドライバーとしては、高速道路はないよりあった方がいいに決まってますから、ありがたい情熱ではあります。

 では、どんな路線が拡幅されるのでしょう。前提として、費用便益比や混雑度が高い路線からでしょうから、大都市近郊の観光路線は最有力です。

 関東では館山道の君津以南の拡幅が望まれますが、ここはすでに4車線化が決定済み(君津~富津竹岡間)。関西では舞鶴若狭道の舞鶴西以東(舞鶴西以西は拡幅決定済み)や阪和道(御坊以南。そのほかは拡幅決定済み)でしょうか。常磐道、磐越道、岡山道、米子道なども可能性は高いと思います。

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東九州道の2車線が確定している区間。上下線の仕切りがコンクリートで安全性が高い(2015年8月、清水草一撮影)。

 しかし問題は、ここからも取り残されるであろう過疎路線たちです。

 国交省も指摘しているように、暫定2車線区間は、安全性を始めとして問題が多すぎます。まずは暫定2車線区間の利用価値の低さを認めて料金を半額以下に下げ、それでも利用が低迷する路線は、「当面2車線区間」とでもして中央にコンクリートウォールを設け、反対車線への飛び出しによる正面衝突事故を防ぐべきではないでしょうか。

 半永久的な暫定2車線はもうヤメにして、やるのかやらないのか、路線ごとにある程度はっきりさせるべきだと考えますが、今回、それについての言及がなかったのは残念です。

【了】

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Writer: 清水草一(首都高研究家)

1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で、首都高研究家/交通ジャーナリストとして活動中。

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コメント

2件のコメント

  1. 1.暫定2車線区間の対向車線間は、何故昔からポールだけなのか? 恒久的でないコンクリート壁(大きなプロックのような)で80km/h化はできないのだろうか?
    2.そもそも暫定2車線は、何故片側だけで建設するのだろう? トンネル橋梁は仕方ないとして、盛土部は中央分離帯つき片側1車線づつで造っててくれれば(4車線化は両側増設、各所でやってる)、安全に使える区間になったであろうに。
    3.「使われない区間」との決め付けが「国土の均衡ある発展」を阻害してこれまでの東京一極集中を促し、将来の関東ローカルの大地震が日本全土に深刻な影響を及ぼすであろう事を懸念する。

  2. 既に一般道路もあるのにさらに4車線にするのは二重投資も程がある。「4車線化に絶対反対」というわけではないが、いい加減道路整備信仰を見直すべき。建設維持費のことも考えるべきだし、鉄道網の活用も含めて道路整備を進めるべき。