電池に充電して走る電車「DENCHA」、今秋デビュー JR九州

ブレーキでも充電可能 秋田での活躍予定も

 819系「DENCHA」は、モーターをブレーキとして使った際に発生する電力を、蓄電池に充電することも可能です。車輪の回転力でモーターを回転させた場合、モーターは発電機になり、車輪の回転を弱めようとする力と、電力が発生します(「回生ブレーキ」)。

 この819系「DENCHA」の導入が予定されている非電化区間は福岡県北九州市内、筑豊本線(若松線)の若松~折尾間10.8kmです。電化区間である筑豊本線の飯塚駅(福北ゆたか線)側から折尾駅付近までは、パンタグラフを使い充電しながら走行。非電化区間になるそこから若松駅側は、蓄電池の電力で走行するといった形が考えられています。

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819系「DENCHA」の車内。車内の冷暖房効果を高める個別のドア開閉ボタン、停車駅などを案内する液晶モニタなどが備えられる(画像出典:JR九州)。

 2016年4月に、819系「DENCA」は試験運転をスタート。同年秋から営業運転を開始する予定です。

 同様なシステムで蓄電池走行が可能な電車は、2014年3月からJR東日本が栃木県の烏山線でEV-E301系「ACCUM」を導入していますが、こちらは直流電気を使用するもの。JR九州の819系「DENCHA」は交流電気を使用します。

 また、この819系「DENCHA」を耐寒耐雪仕様にするなどカスタマイズしたものを、JR東日本は交流電気を使っている秋田地区の路線へ投入する予定です。

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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コメント

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4件のコメント

  1. 記事には書いてませんが、筑豊本線若松駅ホームに、烏山線烏山駅と同様、急速充電用の剛体架線が付くのかが気になりますね。行って戻ることを考えた
    らと思うと…。

  2. 電池で走れば架線がなくても早く走れるようになりますね。
    そうなれば非電化区間でも電気で走るようになり、原油の需要は低下し、サウジアラビアは破綻することになる。
    電池以外にもロシアやイランから天然ガスを輸入して天然ガス気動車も大いに検討しても良いだろう。
    因みに「DENCHA」をキリル文字に直すと「Дэнчы」(ыにしているのは男性形だから。)になり、正式名は「電池車両」になる。

  3. 下関から門司の関門トンネル区間もJR九州ですが直流電化のため未だに国鉄時代から引き継いだ交直両用車両が使われていてJR移行後に新造された交流専用車と比較すると古さは否めません。

    かといって関門トンネル区間のだけに新車も製造することも厳しいと思われますので、この区間にもこの蓄電池電車を投入して直流区間はパンタグラフを下ろして走らせるのも面白いかもしれません。トンネル区間の勾配はありますが距離は折尾~若松間より短いので不可能ではないと思います。

    下関駅に充電設備を造っても交直両用電車の新造コストよりは安いのではないでしょうか。

  4. ちゃっかり関門区間に乗り入れれば415系より最小単位ではしれる。あと指宿枕崎や長崎旧線や大村線ほか県都駅に乗り入れるローカル線の都市化が進んだ区間の近代化に有効だと思います。